第189話 ページ39
仕事が終わり、帰ろうとすると電話がひとつ
「…宏太朗？」
宏太朗から電話が来るなんて珍しい
そんなことを思いながら、受話器マークを押す
「はい？」
電話越しに聞こえたのは焦った声
「パイセンっ！大変なんです！」
そんな声を聞いて、思わずスマホを握る手が汗をかいた
「…え、なに」
まるであの時みたいで、思わず身構えた
「雫ちゃんがっ！！」
そう宏太朗が叫ぶように言った
それと同時に俺は荷物を持ってスタジオを離れる
「江口さんっ！？」
後ろから今日ついてくれていたマネージャーが叫んだのが聞こえたが俺は構わず足を走らせた
「雫ちゃんがぁ！！雫ちゃんの様態が！！」
…なんで
嘘だろ…
ドキドキとうるさくなる心臓
この心臓は走っているせいなのか
不安から来るものなのか分からないけど
俺は無我夢中で走った
「パイセン！！大丈夫なら今すぐ来てくださいっ！早くっ！」
電話越しからは鼻をすする声と共に叫ぶように言う宏太朗
そんなに…
…お願いだから！間に合ってくれ
運動不足で足が全然ついてこないのを必死に前へと出し、スタジオを飛び出すとすぐ様タクシーを呼んで俺は病院へと向かった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ダッダッダ ダッダッダ
何回かエレベーターのボタンを押しても直ぐには開かない扉
「あーもーくそっ」
俺は隣の階段を駆け上がる
こういう時に珍しく自分の身長に感謝した
長い脚を伸ばし、2段ととばしで駆けのぼる
やっと彼女の部屋がある階まであがると、冷たく冷えた廊下とご対面する
…まるで、あの時みたいに
窓からさす夕陽は、もうすぐ沈みかけていて夜が来ようとしていた
「…雫っ！」
俺は勢いよく、彼女の部屋の扉に手をかける
シャッ
仕切りのカーテンに手をかけると…
そこには彼女の姿はなく、綺麗に整えられた白いベッドがあるだけだった
「……嘘」
「……また、間に合わなかったの…」
「…嘘だろ」
ガクッと疲れが来たのかはたまた精神的なものか分からないが…膝から崩れ落ちるとはこの事かと思うくらい、俺は近くにあった椅子に無様に座った
「……何してんだよ」
「…嘘だろ…」
ツーンと鼻の奥が痛くなる
ああ、涙なんて日頃でないのに
凄く今…泣きそう
『……江口さん？』
幻聴かと思って慌てて振り返った
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雅 - eriiiさん、いつもありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。良かったらBGM素敵なやつを脳内再生しながら読んで頂けたら笑^^*引き続き、続きもよろしくお願い致します。 (2021年4月24日 22時) (
レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、素敵な感想ありがとうございます。今日更新しましたので、続きもぜひよろしければ^^*そう言って下さりとても嬉しいです。頑張りますね^^* (2021年4月24日 22時) (レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
eriii(プロフ) - きゃー！！ドラマだったらここで絶対主題歌が流れて、次週に持ち越しの展開ですね！←読んでてめっちゃにやにやしちゃいました(*^^*) (2021年4月24日 6時) (レス) id: 5892b12f93 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 夢主ちゃんの場所は、江口さんの隣だと感じてほしい。そして、いつも雅さんの素敵な書き方に感動しています。続きも頑張って下さい！ (2021年4月24日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様でした。ドキドキしながら読んでいきました。お互い想い合っているのになぁ…と思いながら、でも夢主ちゃんが何を感じで江口さんに駆け寄った時には胸にきました。全部思い出してないかもしれないけど (2021年4月23日 23時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2021年3月28日 0時
