第177話 ページ27
貴女side
眩しい光と鳥の声に目を覚ます
『…んっ…うさぎ、さん』
まだ伸ばした左手は微かにあたたかい気がした
そっとその手を握りしめる
『…約束、守ってくれたんだ』
しっかりと掛けられた布団
ほんのりと香る甘い香水の香り
ぎゅっと胸に押し当てる
…知ってる、大丈夫、覚えている
体はしっかり覚えていて
この温もりを忘れないでいてくれた
側にいて、と言った時、
ハッとする声が聞こえた気がした
そして迷っているように返事はかえってこない
だから、そっとパペット人形に手を伸ばして
握りしめた
…迷わないで
「…分かった」
そう言ってくれた時、どれ程嬉しかったことか
…嗚呼、やっぱり貴方は私の大切な人なんですね
そう思えた
静まり返る病室内
嫌いな雨は、もう止んでいて
窓に張り付く水滴がキラキラと輝いていた
『…今日は、来て下さるかしら』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから雨が降った夜
うさぎさんは毎日やってきた
うさぎさんは日常のお話を沢山してくれた
『ふふっ、嘘だ〜』
「いや、ほんとなんだって！」
…たまに冗談を言う
大嫌いな雨も、いつかは彼に…
うさぎさんに会えるんだなんて思えるようになっていた
でも…
「…そろそろ寝る時間で〜す」
私の体を心配してくださるのか、日付が変わりそうになると彼は毎回こう言う
『え〜』
「えーって笑」
器用にパペット人形を動かしながら
サヨナラを私に言う
『まだ寝たくないと言ったら？』
「だーめ」
『…じゃあ、もうそろそろお顔を見せてくれますか？』
「ちょっと何言ってるか分からない」
本体さんは？って言っても
うさぎが本体です！って彼は言う
…眠ってしまったら朝が来る
…眠ってしまったら、貴方は傍にいてくれないから
『…ずっと起きてたいな』
「…だーめ」
体に悪いから、って
『体が良くなったら…』
「うん？」
『体が良くなったら、迎えに来てくれますか？』
「……っ」
あれから何回雨の夜が来たか
未だに消えたピースは戻らない
この時間は私は大好きで
それと同じくらいこの時間がいちばん辛い
…また、返ってこない
返事は返ってこなかったので、ベットに大人しく横になる
まるで、織姫と彦星みたい
カーテンが私たちを仕切る天の川
『おやすみな…「いいよ」』
『え？』
「…元気になったら、迎えに行く」
「一番に迎えに行くから」
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雅 - eriiiさん、いつもありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。良かったらBGM素敵なやつを脳内再生しながら読んで頂けたら笑^^*引き続き、続きもよろしくお願い致します。 (2021年4月24日 22時) (
レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、素敵な感想ありがとうございます。今日更新しましたので、続きもぜひよろしければ^^*そう言って下さりとても嬉しいです。頑張りますね^^* (2021年4月24日 22時) (レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
eriii(プロフ) - きゃー！！ドラマだったらここで絶対主題歌が流れて、次週に持ち越しの展開ですね！←読んでてめっちゃにやにやしちゃいました(*^^*) (2021年4月24日 6時) (レス) id: 5892b12f93 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 夢主ちゃんの場所は、江口さんの隣だと感じてほしい。そして、いつも雅さんの素敵な書き方に感動しています。続きも頑張って下さい！ (2021年4月24日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様でした。ドキドキしながら読んでいきました。お互い想い合っているのになぁ…と思いながら、でも夢主ちゃんが何を感じで江口さんに駆け寄った時には胸にきました。全部思い出してないかもしれないけど (2021年4月23日 23時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2021年3月28日 0時
