第174話:特別編�� ページ24
貴女side
家に着くまで彼は無言だった
…迂闊だった
私なんかにそんな興味なんてあるとは思っていなくて
きっとただからかっているだけだと思ってた
カチャ
冷たく響く部屋の鍵
彼がゆっくりと鍵を開ける
「…ん、」
彼は私に先に入るよう促す
だから私もそれに従い、中へと入った
「疲れたでしょ」
『え？』
「おかえり」
そう言って彼は私に優しく声をかけた
疲れているのは貴方なのに
酷いことをしたのは私なのに
『ただいま』
「うん」
そう私が返すと、満足したようにリビングへ向かう彼
『…あのね、江口さん』
「大丈夫」
『え？』
「大丈夫、分かってるから」
それよりこっち来て、って彼は言う
私は彼が座っているソファーへと向かう
彼は私の頬に手をあてた
『…？』
「泣かせちゃってごめんね」
そういって涙のあとをなぞる
あの時泣いてしまったのは、嫌だったから
彼を裏切っているみたいで、すごく嫌だったから
『謝るのは私の方でっ……んッ』
言いかけてる最中に彼が私に口付けを落とす
「謝んなくていーよ」
『でもっ……んっ…』
「まぁそりゃ、いい気分はしないけど」
『…怒ってます？』
「ちょっぴり」
『江口さん、私…っ』
言いかける度、彼は口付けをおとした
『…言わせて下さいよ』
「んひひ、ちょっとお仕置」
『…なっ』
「はいはい、嘘、嘘。言っていいーよ」
『黒川くんの気持ちは嬉しいですけど…私には江口さんだけですよ』
「うん」
『今も…これからも、江口さんしか…江口さんにしかドキドキしなくて…』
「うん」
『…虫のいい話かもですが、江口さんしか好きじゃないです…だからっ…んッ…』
グッとそのまま押し倒される
「だから？」
『…だか、ら…江口さんが好きです…』
「…んひひ」
「なんか、ホワイトデー返す気でいたのに、また貰っちゃった気分」
『え？』
「…キスされたのここ？」
そう言って唇をなぞる
静かにこくりと頷けば、
「…上書き、しなきゃね？」
そっと彼は上書きをする
「…雫」
『…は、い…』
ドキドキする心臓
「ホワイトデー、今でもいい？」
こんな気持ちは貴方だけで
「受け取ってくれる？俺の気持ち」
…大好きを込めて
小さく私は頷く
「ありがとう」
散々なホワイトデーだったけど、あの男の子にも感謝しなきゃね？なんて彼は笑った
「日頃照れて言えないから」
1回だけだよ？って
「…愛してるよ、雫」
今年のホワイトデーは、
少し苦くて甘かった
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雅 - eriiiさん、いつもありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。良かったらBGM素敵なやつを脳内再生しながら読んで頂けたら笑^^*引き続き、続きもよろしくお願い致します。 (2021年4月24日 22時) (
レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、素敵な感想ありがとうございます。今日更新しましたので、続きもぜひよろしければ^^*そう言って下さりとても嬉しいです。頑張りますね^^* (2021年4月24日 22時) (レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
eriii(プロフ) - きゃー！！ドラマだったらここで絶対主題歌が流れて、次週に持ち越しの展開ですね！←読んでてめっちゃにやにやしちゃいました(*^^*) (2021年4月24日 6時) (レス) id: 5892b12f93 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 夢主ちゃんの場所は、江口さんの隣だと感じてほしい。そして、いつも雅さんの素敵な書き方に感動しています。続きも頑張って下さい！ (2021年4月24日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様でした。ドキドキしながら読んでいきました。お互い想い合っているのになぁ…と思いながら、でも夢主ちゃんが何を感じで江口さんに駆け寄った時には胸にきました。全部思い出してないかもしれないけど (2021年4月23日 23時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2021年3月28日 0時
