第334話:最終話 ページ34
時々マスターとも会話しながら頼んだ
料理を彼女と待つ
｢そう言えば…本日はお二人共眠そうですね｣
意味深に聞いてきたマスター
『え！？えっと…そうですね、すこし…』
｢…そうですか？｣
嬉しいような、恥ずかしいような…
なんとも不思議な気持ちになる
そんなふたりの反応を見てか、マスターが
｢おや、では今日の珈琲は少し濃い目にでも作りますかね〜｣
なんて冗談っぽく言ってくる
そして更には
｢お二人共、夜更かしは体の毒ですよ？｣、と。
｢…マスター、それセクハラじゃないー？｣
『確かに！！』
｢それは失礼しました｣
そんな会話をしながらケラケラ笑い合う
なんとも穏やかな時間
そんな中、注文していた料理を震えながら持ってきた研修中のアルバイト君
｢お待たせしました！｣
…なんだか懐かしいな
自分の働いてまもない頃を思い出す
心の中で頑張れって思いながら
やっと待ちに待った数時間ぶりの食事
『あ〜！お腹ぺこぺこです！』
｢俺も〜！｣
『では、』
｢うん｣
『｢いただきます｣』
優雅な朝食…
あー…しばらくこのままがいいな…
なんて思いながら2人で食事をする
｢あー、お腹いっぱい｣
『ですね、美味しかった〜』
ちらりと彼女の席をみる
彼のための待ち続けた料理はそこにはなく、
彼女が美味しそうに完食したモーニングの空いた皿がそこには残っていた
俺らは食後にドリンクを頼む
彼女がダージリン
俺は濃いめにしてくれた
マスターの特製ブラックコーヒー
数分後、再び研修中のアルバイト君が
俺らの前にドリンクを置いてくれた
｢お待たせいたしました。
ブラックコーヒーとダージリンになります｣
カチャリと音をたてたカップ
ごゆっくりと、そう言い残して彼は立ち去る
ふわりと香る
ダージリンとブラックコーヒーのいい香り
｢……｣
『……』
｢うん？｣
『…えっと』
…おやおや、なんだかデジャブだぞ
研修中のアルバイトの君
そして、ブラックコーヒーとダージリン
俺の目の前に置かれたスライスレモンが浮いた香り豊かなダージリン
彼女の前に置かれた、いつもより少し濃いめのブラックコーヒー
お互い自然と目が合った
｢…いひひっ、言っちゃう？｣
『ふふっ、言いますか？』
｢…あの、ダージリンですか｣
『あの、珈琲ですよね？』
お互いに言って笑いあう
俺らが巡り会った時の台詞
これから全て始まった
…嗚呼、今日は雨が降るだろうか
…晴れてくれたらいいなぁ
雨音シンドローム 完
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 143人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雅 - Aさん» Aさん、コメントありがとうございます。・・・好きな場面まで！ありがとうございます。感想を言って下さるのはとても嬉しいです。今後の参考にさせていただきますね。 (2020年11月26日 0時) (
レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、最後まで読んでくださりありがとうございました(*^^*) (2020年11月25日 23時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - afterstoryもとっても素敵でした！！個人的に花言葉入ってるのがすごく好きできゅんってしました；； (2020年11月25日 12時) (レス) id: a957c976a9 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - こちらこそ、素敵な作品を作って頂きありがとうございました！リクエストした宏太朗くんの話も素敵でした！２人の幸せが伝わる感じでした(^^) (2020年11月24日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、リクエストありがとうございました。おまけ話は完結させて頂きました。毎回コメントもありがとうございます。こちらの作品はこれで全て終わりとなりました。今まで読んでくださり大変ありがとうございました。 (2020年11月23日 23時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雅 | 作成日時：2020年10月21日 22時
