第233話 ページ33
先程まで元気よくマスターと
会話していた彼女もやっといつもの席へと着く
『……』
｢どうしたの？｣
俺も習慣になっていたかのように彼女の隣へ
いつもの場所、何一つ変わらないいつもの事
『……まって』
そう彼女は座ろうとしていた俺をとめた
そして彼女はそっと席をつめた
珈琲カップを拭いていた
マスターと俺は目を疑う
だってそれは有り得なかったことだから
今まで一度たりともつめなかったひと席分
今日、彼女はいつもの席ではなく、
いつも空けている�猗爿瓩寮覆悗蛤造�
｢え、ちょ、いいの？｣
そこは彼の席なんじゃ…
そう思って声をかける
彼女は大きく一呼吸
そして小さい声で、
カウンター席の机を撫でながら
『……ありがとう、今まで』
そう呟いた
続けて、
『…幸せになるね』
本当に小さい声で、彼女は呟いた
ひと席分埋まっただけ
ただ、それだけなのに
いつもと座るのがひと席分ずれただけ
ただそれだけ……
それだけなのに、なんだか今日は広く感じた
『さっ、食べましょう！』
次に彼女が俺にみせた顔は、
いつも通りの元気な笑顔
その笑顔だけで、ホッとした
｢うん、食べよう｣
｢…ねぇ、雫｣
『うん？』
｢今度休み、合わせよ｣
『……え？休みですか？』
｢挨拶、しなきゃ｣
『……挨拶？』
｢…紫陽花の君に｣
そう、名前も顔も写真で見ただけ
俺にはきっと一生勝てない永遠のライバル
俺は傘を持たないけど、
彼はいつも彼女に傘をさしてあげていた
彼女の1番の大切な人──────
｢…これからは俺が傘をさしますって｣
『…それって』
｢だから、安心してくださいって｣
笑うのは苦手だけど、
自分なりに自然と出た笑顔で彼女に笑いかけた
『……ありがとう！』
……よかった、また笑ってくれた
……これでいい、これでいいんだ
マスターもちゃっかり会話を聞いていたのか
さりげなく優しく微笑んだ
きっとマスターなら、
俺らの関係も気づいているだろう
…やっぱりマスターにはかなわないかも
実は影なるドンはマスターかも？
なんて思っていたら、
初々しいく注文を取りに来たアルバイト君
だから俺らも注文をし、世間話に花を咲かせる
たまに間があるけど、その間も心地よかった
いつも通りの朝で、心地よい時間
少しばかりの寝不足とそれを覚ますかのように
香る珈琲の香り
…一つだけ違うと言ったら…
俺の傍には君がいた
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雅 - Aさん» Aさん、コメントありがとうございます。・・・好きな場面まで！ありがとうございます。感想を言って下さるのはとても嬉しいです。今後の参考にさせていただきますね。 (2020年11月26日 0時) (
レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、最後まで読んでくださりありがとうございました(*^^*) (2020年11月25日 23時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - afterstoryもとっても素敵でした！！個人的に花言葉入ってるのがすごく好きできゅんってしました；； (2020年11月25日 12時) (レス) id: a957c976a9 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - こちらこそ、素敵な作品を作って頂きありがとうございました！リクエストした宏太朗くんの話も素敵でした！２人の幸せが伝わる感じでした(^^) (2020年11月24日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、リクエストありがとうございました。おまけ話は完結させて頂きました。毎回コメントもありがとうございます。こちらの作品はこれで全て終わりとなりました。今まで読んでくださり大変ありがとうございました。 (2020年11月23日 23時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2020年10月21日 22時
