第204話 ページ4
……こんな事になるなら
ここら辺でタクシー呼んでおけばよかった
行った居酒屋が、路地裏にあるため車が通れず、おまけに抜けた先が住宅街だから…と思い、大通りに出てから連絡する予定だった
もう少し早く電話していればよかった
お互いにびちゃびちゃになったため、
どこか店に入る訳にもいかず、タクシーに乗る訳にもいかず…仕方なく、近くの公園にあった屋根があり、そのところにベンチがあるところに行った
彼女をベンチに座らせる
流石にいくら夏の雨だからとは言え、
濡れてしまっては風邪をひいてしまう
慌てて、健康ランドに行った時のタオルで彼女を拭いてあげた
虚ろな目をしている彼女
大好きだった彼女の透き通った綺麗な瞳は
まるで曇天の空のように光がない
｢……寒いでしょ｣
『……大丈夫…です』
｢あ、俺、あそこの自動販売機で缶コーヒー買ってこようか！ホットあるかわかんないけど…｣
『……』
ぎゅっと握りしめられる手
｢大丈夫、そこの自動販売機｣
『……いかないで』
声が震えていた
｢…じゃあ〜、一緒に行こ｣
彼女を少しでも温めてあげたくて
彼女を連れて自動販売機へ
｢…うーん｣
やはり、夏の自動販売機
ホットが少ない
｢…あ、｣
ミルクティーがホットで売っていたので、
お金を入れてそれを押す
ガコンっ
｢…あ、温かい｣
彼女を連れて再びベンチへ
｢温かいよ、ほら｣
彼女の頬にそっとつける
まるで氷みたいにひんやりとしている肌
『…温かい』
｢でしょ。ほら、おいで｣
俺も濡れてるから大して温めてあげれないけど…
彼女をぎゅっと抱きしめる
安心させるのも含めて抱きしめる
…こんな事、外では普段しないけど
ぽんぽんと、子供をあやすように叩いてあげると、落ち着いたのか彼女は口を開いた
『……江口さん』
｢んー？｣
『……お話があります』
｢……うん｣
『…大事な、大事なお話があります』
そっと腕を解く
しっかり向き合い、聞く体勢へ
｢うん、聞かせて｣
……恐らくあの話
……本当は知っているあの話
遂に、彼女の口から聞く日が来た
…でも、
…でも、
なんで、今日なんだろう
なんで、今日が雨なんだろう
……本当は、今日が彼女にとって
素敵な一日にするはずだったのに
彼女にとって大切な一日のはずなのに
それでも尚、彼女は決心したように口を開く
……嗚呼、そうか。
…今日で、彼女との歪なこの関係に
終止符が打たれるんだ──
…大丈夫、どんな結果でも受け止める
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雅 - Aさん» Aさん、コメントありがとうございます。・・・好きな場面まで！ありがとうございます。感想を言って下さるのはとても嬉しいです。今後の参考にさせていただきますね。 (2020年11月26日 0時) (
レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、最後まで読んでくださりありがとうございました(*^^*) (2020年11月25日 23時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - afterstoryもとっても素敵でした！！個人的に花言葉入ってるのがすごく好きできゅんってしました；； (2020年11月25日 12時) (レス) id: a957c976a9 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - こちらこそ、素敵な作品を作って頂きありがとうございました！リクエストした宏太朗くんの話も素敵でした！２人の幸せが伝わる感じでした(^^) (2020年11月24日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、リクエストありがとうございました。おまけ話は完結させて頂きました。毎回コメントもありがとうございます。こちらの作品はこれで全て終わりとなりました。今まで読んでくださり大変ありがとうございました。 (2020年11月23日 23時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2020年10月21日 22時
