第225話 ページ25
雨によりジメジメとした部屋の空気
そこに火照った体には気持ちいいと思える
冷房のひんやりとした風が流れ込む
夜のせいか
はたまた
雨の夜のせいか
シーンと静まった部屋に響くのは
時計のカチコチと鳴る秒針の音と
ベランダにうちつける雨の音
そんな静まった部屋に響く音がもうひとつ
ドキドキと煩く心臓の音が聴こえる
白いシーツの上に広がるのは
綺麗に切りそろえられた 栗毛色の髪の毛
白いシーツと相まって
まるで夏に咲く向日葵のようで
1枚の絵なのかと思えてしまうほど美しい
……これは、夏の夜のせいかもしれない
ふと、急にそんなことを思った
…それは、数十分前のこと───
彼女に、残りの時間を俺にくれと伝えたその時
自分でもかなり…
いや、今年1番緊張した
日頃、黒猫のようにのらりくらりかわしてしまう彼女は、また誤魔化すように返事をするだろうと思っていた
……いや、すると思っていた
しかし、実際は全くの的はずれな返事が返ってきて、彼女は小さく頷いて『…はい』と、鈴の音がなるような声で言ったのだった
｢……ねぇ｣
『……はい』
｢……本当にいいの？｣
こういうことを聞くものか…と思ったが、
彼女を大切に思っているからこそ
最後に最終確認をする
『ふふっ、それ私に聞きますか？』
宝石みたいに透き通った瞳が
俺を見つめて、まるでイタズラをした子供みたいな笑顔で、彼女は笑った
｢あー…いや、ほらさ、逃げるなら今かなと｣
組み敷いといて何言ってんだって話なんだが…
『何から？』
｢えっ…？うーんと俺から？｣
『…なにそれ笑』
だって、居なくなっても
探してくれるでしょう？
って彼女はまた不思議なことを言う
『…欲しいって言ったの江口さんだし』
そう言って彼女は頬に触れた
暑い夏の夜とは正反対なくらいひんやりとした手
｢…まぁ｣
｢てか、俺ばっか貰ってるけど…｣
コツンとおでこをくっつける
『ふふふっ、なんだかくすぐったい』
俺の髪が彼女の頬に少しだけ垂れる
ふわりと香るお揃いのシャンプーの香り
…眼鏡邪魔だな
よく顔が見えないからギリギリまで外さない
つもりだったけど、ここまで来ると邪魔になる
そっとくっつけたおでこをはなすと
眼鏡を外した
｢……え、なになに｣
視線に気が付き声をかける
『いえ、優しい目だなって』
そう言う彼女も優しい目で笑った
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雅 - Aさん» Aさん、コメントありがとうございます。・・・好きな場面まで！ありがとうございます。感想を言って下さるのはとても嬉しいです。今後の参考にさせていただきますね。 (2020年11月26日 0時) (
レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、最後まで読んでくださりありがとうございました(*^^*) (2020年11月25日 23時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - afterstoryもとっても素敵でした！！個人的に花言葉入ってるのがすごく好きできゅんってしました；； (2020年11月25日 12時) (レス) id: a957c976a9 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - こちらこそ、素敵な作品を作って頂きありがとうございました！リクエストした宏太朗くんの話も素敵でした！２人の幸せが伝わる感じでした(^^) (2020年11月24日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、リクエストありがとうございました。おまけ話は完結させて頂きました。毎回コメントもありがとうございます。こちらの作品はこれで全て終わりとなりました。今まで読んでくださり大変ありがとうございました。 (2020年11月23日 23時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2020年10月21日 22時
