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第159話 ページ9

「…これがさ、俺の隠し事」

『……』

「…でもね、俺、まだ一緒にいたい」

「まだ…雫さんを好きでいたい」

彼女を抱きしめる力が強くなる

「………嫌いになった?」

少しばかり声がかすれる
ドクンドクンと心臓の音とともに血液が循環するのがわかる

暫くの沈黙

やっと彼女が口を開く

『……今日、演技してる江口さんをみてすごく驚きました』

「うん、ごめん」

『…私とは住む世界が違うなって、そんな風にも思いました』

「…うん」

『スマホで調べたら…
だって凄い有名人さんだし』

「そ、そうなの?」

『……私なんかが隣にいるのは恐れ多いなってのも思いました』

「……」

…嗚呼、終わった

その言葉を聞いて、
指先が冷めていくような気がした

『……でも』

「え……」

『でも、私は…江口さんと一緒にいたいです』

「……っ!」

『一般人が何言ってるんだって思いますけど…』

『今日見た江口さんも素敵でした、とっても』

『でも、それだけじゃなくて…。いつもの江口さんだって、私…知ってるんですよ?これでも』

『……ねえ、江口さん』

『今の…、今いる江口さんは本当の江口さん?』

『好きだと言ってくれるのは…
演技ではなくて本当の江口さん?』

そう彼女は聞く
俺に背中から抱きしめられたまま

「…うん、今の俺が本物の俺」

やっと言えた 真実を全て

言ったからこそ伝える
君を好きな本物の俺

「…そうだって言ったら?」

『…そうですね……』

彼女は俺の腕からするりと居なくなると
俺の方を振り返る

「…振り返っちゃダメって言ったじゃん」

『ちょっとだけ…』

そのまま背伸びをして俺の首に腕をまわした

「…なっ」

『じゃあ…本物の江口さんごと私、愛します』

キュッと彼女の腕に力が篭もる

『全部…受け止めますよ、江口さん』

心がなにか軽くなる気がした────

「…普通のお付き合い出来ないかもよ?」

『はい』

「夜だって遅いし、休みだってほぼないし」

『はい』

「デートだって連れて行ってあげられない」

『承知の上ですよ』

「……ファンの子だっているから周りだって気にするし、時には酷いこと言われるかも」

『私、我慢強いから大丈夫です。体力、忍耐には自信あります!』

「……いいの」
『だって、一緒に居たいから』
『好きになってしまったんですもの』

仕方がないでしょう?って彼女は言う

「……すげぇ、雫さんっていい女」

『でしょう?』

そんな冗談っぽく彼女はかえした

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設定タグ:江口拓也 , 声優   
作品ジャンル:恋愛
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- サチさん» サチさん、ありがとうございます。とりあえず第4章がいっぱいになりましたので、5章までいきそうです。長くなってしまいましたが、いつもコメントを下さりありがとうございます(*^^*) (2020年10月19日 23時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 読みます!読みます!ゆっくり更新でも大丈夫です!完結まで頑張って下さい。楽しみに毎回待っています(^^) (2020年10月19日 22時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
- サチさん» サチさん、ありがとうございます!(*^^*)はい!後半編です。また、作品自体終盤ですので、ゆっくり更新ですが読んでくださると嬉しいです(*^^*)本当にいつもコメントありがとうございます! (2020年10月19日 18時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 連投すみません。今回も沢山の更新だったので、嬉しかったです(^^)お疲れ様でした!誕生日も後半ですかね?この後どうなるのか楽しみです! (2020年10月18日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
サチ - ドキドキしましたが、流石です!そして、ほのぼのとした感じで良かったです!2人の会話の雰囲気?がとても好きです。 (2020年10月18日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年9月19日 22時

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