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第157話 ページ7

スタッフさんから聞いたところまで来たが
彼女の姿はもう無かった……

帰ってしまったのだろうか

「…じゃあなんで泣いてたの」

涙の理由が知りたい

きっと席を立ったのは…
拒絶ではないことは分かった

彼女のことだから態々気を使いお菓子やお花を用意するために席を立ったのだと…

それが100%とは言いきれないから、勝手に自分の中でそう言い聞かせているだけなのだが

“教えてくれてありがとう”

そう書かれたメッセージカードをみる

「……まだ期待していい?俺」

彼女の涙のわけを知りたくて
不安で胸がいっぱいになったのだった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おーい、帰るぞ〜」

どうやら、キャストの方々が片付けが終わり帰り始める
1部はこのまま打ち上げに行くのだろう

俺も打ち上げ勢なのだが、なんとも心は不完全燃焼……

「はぁ……」

ため息をついて、そのまま俺もそろそろ行こうかな…って歩き出した時ふと思い出した

「あ、やべ、タオル忘れた」

舞台袖にかけていたタオルの存在をすっかり忘れていた

「すみません〜!僕忘れ物したんで…1回戻りますねー!」

「ちゃんと来いよー江口さん!」

「はーい」

「…取りに戻るのめんどくせえ〜」

なんて思いながら仕方なく、再びホールへと戻る

先程のお客さんがいた時とは違う姿のホール
静かで明かりも少なくてなんだか少し不気味さもあった

「あったあった」

タオルを回収し、帰ろうとした

ふと彼女が座っていた席を思い出す

「……」

彼女が座っていた席まで行き、ふとおもむろにそこに座った

…なんだか彼女の気持ちがわかる気がしたから

「へぇ、こんな風に見えてたんだ」

結局座ってみたが、分からなくて再び立ち上がった時にふと、足元に光る何かを見つけた

「なにこれ」
目を凝らし、拾うと彼女のネックレス
「もぉ〜…落としてんじゃん。…なんか不吉」
たまたまだろうけど、黒猫ってのもあって不吉感 仕方なく拾いポケットに閉まった

「…帰ろう」

帰ろうとしたその時だった

バタンっとドアが開く

パタパタと足音

……誰か来た?

扉の方へとゆっくりと向かった

……ってあれ…?

そこには……
今一番会いたい人がいた
今一番、声が聞きたい人がいた

おもむろに背後から近づく──────

パチンっ
と音を立てて照明がつく

『よし!探そう!』

鈴のような声が耳に響く

……探しに来てくれたんだ

そう思うと愛おしくて
ついつい俺は彼女の腕を掴んだのだった──

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設定タグ:江口拓也 , 声優   
作品ジャンル:恋愛
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- サチさん» サチさん、ありがとうございます。とりあえず第4章がいっぱいになりましたので、5章までいきそうです。長くなってしまいましたが、いつもコメントを下さりありがとうございます(*^^*) (2020年10月19日 23時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 読みます!読みます!ゆっくり更新でも大丈夫です!完結まで頑張って下さい。楽しみに毎回待っています(^^) (2020年10月19日 22時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
- サチさん» サチさん、ありがとうございます!(*^^*)はい!後半編です。また、作品自体終盤ですので、ゆっくり更新ですが読んでくださると嬉しいです(*^^*)本当にいつもコメントありがとうございます! (2020年10月19日 18時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 連投すみません。今回も沢山の更新だったので、嬉しかったです(^^)お疲れ様でした!誕生日も後半ですかね?この後どうなるのか楽しみです! (2020年10月18日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
サチ - ドキドキしましたが、流石です!そして、ほのぼのとした感じで良かったです!2人の会話の雰囲気?がとても好きです。 (2020年10月18日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年9月19日 22時

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