雨音シンドローム IV

第196話 ページ46

館内着に着替えた俺は、まだあがってきていない彼女を、ベタだけど、牛乳を買って近くのテーブル席に座り待っていた

本棚に置いてあった漫画を手に取り読みながら
牛乳を飲んで彼女を待つ

……なんか、え、なんか

ふと、我に返り思う

｢…実家に帰省した休日っぽい｣と。

え、こんなまったりしていいの？
真昼間から、健康ランドで館内の漫画読んで彼女のこと待って？？え、なんか、これはこれでいいかも…

とか思ってると

『…あ！すみません…お待たせしました』

パタパタと彼女も館内着をきて俺が座ってる席まで来た

｢…良い｣

『…え？』

やや乾かしきれてない髪の毛をゴムで束ねて
温泉であったまったからか頬が赤い彼女
そして、色違いの館内着

｢……とても良い｣

『どうかしました？』

｢いやこっちの話｣
『そ、そうですか？』

｢てかさ、なんでここ？｣

『嫌でしたか？』

少し心配そうにみる彼女

｢嫌じゃないけど…｣

あ！あれやりましょう！

と、手を引かれてマッサージ機に

俺はいいよと断ったが、無理やり彼女に座らされる

2人で並んでマッサージ機で、マッサージ

ブルブル来る振動 ちょっとばかりサイズが合わなくて椅子からはみ出る足
しかしながら、温泉でほぐれた身体を優しくマッサージしてくれると、今にも寝そうになる

『どうですか？』
振動で声が震えながら彼女はきく

｢気持ちいい｣

『よかった！』

｢…で？なんでまた、健康ランドよ？｣

『…江口さん、目のクマ凄いし疲れていらっしゃったから…。本当は2日おやすみあったら温泉とか行けたけど無理だし…ここが手っ取り早いしよく効くから！』

私結構来るんです！穴場ですよ？

と言いながらニコリと笑う

……俺の為だった

胸がきゅーっと締め付けられる

俺が雫さんのためにこじ開けた休みを
彼女は俺の為にとここに連れてきた
彼女の時間なのに、俺の為にと

『少しばかり、おじさん臭いですかね？笑』

｢…いいや、ありがとう、すき｣

『んん！？急ですね…』

｢あ、ついリラックスしたらポロリと…｣

『えぇ』

くすくすと、笑う彼女

『私もですよ？』

｢えー？聞こえない！なにー！｣

『きこえてるでしょ、それ』

人目を気にしないで、
今だけは彼女だけ考えられて
……なんだろう

なんだか、今俺、すげぇ幸せかも？

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