雨音シンドローム IV

第154話 ページ4

貴女side

何とか無理を言って近くのお花屋さんで小さなブーケを作ってもらい、近くのお菓子屋さんでお菓子を買う

……スタッフさん何人いるんだろう

とりあえず多めに入ったお菓子の箱を何箱か購入し、別に江口さん用に飲み物とお菓子を買う

花を購入した時にカードにメッセージを入れれるとの事で色々悩んだ結果……

“教えてくれてありがとう”

ただそれだけを記した
花屋さんもなんの事だか分からない顔をしながら、それ以上は聞かないでいてくれた

私は慌ててその荷物を持ち会場に戻る

……どうやらまだ続いているらしい

でももう少しで終わりそう…急がなきゃ

キョロキョロと大荷物を抱えて、プレゼント回収口へ向かうが、どうやら公演中なため人が居なかった

どうしたものか…と悩み、ついつい立ち入り禁止の通路の方へ

…ごめんなさい！ごめんなさい！

そう心で思いながら通路を進むと、ザワザワとホールの方がしだした

｢…急がなきゃ！終わってしまったみたい｣

こんな現場を誰かに見られてしまったらそれこそ終わりで…挙句に江口さんにも迷惑をかけてしまう…

そう考えると再び来た道を戻ろうかとしていると、遂に前から来たスタッフに声をかけられた

｢ちょっと！君！｣

｢ここ、立ち入り禁止だよ、関係者以外。何しているんですか｣

すごく怪しそうに睨んでいる

『す、すみません…あのっ…』

言いかけてやめた

私は関係者…では無いのだから

ちらりとそのスタッフが私の手元を見る

｢あー、なに？ファンの子かな？それ、誰かにプレゼントですか？｣

回収しますよ、と手を差し出されて、思わず手を引く

｢えっ…｣ 『あっ…』

ますます怪しそうな目で睨む

『あ、あの…食べ物を買ってきてしまいまして…その……飲食は差し入れ不可ですよね…』

｢あー、なるほど。確かにそうですね。サイトの方にも書いてますし｣

…で、ですよね…
考え無しについついスタッフさんや江口さんに疲れているだろうから甘いものを買ってきてしまった…

｢とりあえず、ホールの方まで案内しますので、そちらの方でお話伺っ…｣

『あの！こ、これ、スタッフさん方でよかったら…ご迷惑でなければいいんですが…』

大量の紙袋をみたその方が、目を見開き驚く

｢え？僕たちにですか？
キャストさんではなく？｣

『あ、はい。……そのご迷惑でなければ…』

お菓子を受け取ったスタッフが何かを思いついたように聞く

｢もしかして…どなたかの関係者の方でしょうか？｣

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