第152話 ページ2
考えたくはないけど、泣いていた彼女のことを思い出していた────────
……あの涙は……何に対して?
考えても考えても答えは出てこなくて
最悪のことばかり想像してしまう
「……きちぃ」
嗚呼、会いたい
今すぐにでも会って話がしたい
するとその時、楽屋にノック音が響く
「…は、はい!」
慌てて声をかけると
「あ、あの〜…」
あ、……えーっとたしか、スタッフさんだよな…
今回の朗読劇の色々やってくれていた
若めのスタッフさんだった
「どうかしました?」
「あ、すみません江口さん。あの実は…」
「はい?」
おもむろに彼は背中に隠していた紙袋を俺の前に出す
「…なんですか?これ」
「さっきそこで、女性とすれ違いまして」
「女性?」
「関係者以外立ち入り禁止なものですから…どうしたのか声をかけたらですね、これを江口さんに、と。」
「え、僕ですか?」
「はい」
「え、だったらまとめてでも良かったのに…」
ファンの子から貰ったやつはBOXで回収してるからな…なんでまた?
「それが、江口さんの関係者の方ですか?ってお伺いしましたら、悩んで。その後にご迷惑でなければこれだけ渡してください、と。なんだか、僕達スタッフの分まで頂いちゃいまして!」
「えーと」
「…江口さんの関係者さんでした?受け取っちゃいましたけど…」
…はて、そんな子いただろうか?
「いや…」
「あー!江口さんの妹さんとか!?」
「…妹?」
もちろん呼んでいない
まさか、ファンの子がここまで来た?
なんてそんなことを考えながら紙袋を受け取ると小さいブーケとお菓子と飲み物が入っていた
ただ、その紙袋を受け取り、まさかと思った
…これって!
「…あの!もしかして、その女性って栗毛色の髪の毛だったりします!?」
「あー!やっぱり江口さんの関係者の方でしたか!そうです!すみません、お通しした方良かったですかね?その方、これだけ渡されて行かれてしまったので…」
「そうなんですね。あの、今ですか?」
「あー、ちょっと前くらいですかね」
「ありがとう、ちょっとお礼いってきます」
「やっぱり妹さんかどなたかでした?」
「そんな感じです。いえいえ、俺から言ってくるんで!ありがとうございます!教えてくださって」
俺はそのスタッフから聞くと、急いで楽屋を飛び出した
まだ、居るかもしれない
彼女が居るかもしれない
渡されたブーケにはメッセージカードが書いてあった
「教えてくれてありがとう」 と
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雅 - サチさん» サチさん、ありがとうございます。とりあえず第4章がいっぱいになりましたので、5章までいきそうです。長くなってしまいましたが、いつもコメントを下さりありがとうございます(*^^*) (2020年10月19日 23時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 読みます!読みます!ゆっくり更新でも大丈夫です!完結まで頑張って下さい。楽しみに毎回待っています(^^) (2020年10月19日 22時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、ありがとうございます!(*^^*)はい!後半編です。また、作品自体終盤ですので、ゆっくり更新ですが読んでくださると嬉しいです(*^^*)本当にいつもコメントありがとうございます! (2020年10月19日 18時) (レス) id: ff32d91f5a (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 連投すみません。今回も沢山の更新だったので、嬉しかったです(^^)お疲れ様でした!誕生日も後半ですかね?この後どうなるのか楽しみです! (2020年10月18日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
サチ - ドキドキしましたが、流石です!そして、ほのぼのとした感じで良かったです!2人の会話の雰囲気?がとても好きです。 (2020年10月18日 0時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雅 | 作成日時:2020年9月19日 22時