第56話 ページ6
貴女side
「…お誕生日おめでとうございます」
少し照れくさそうに
でもしっかりとはっきりと
私に伝えてくれた言葉
その言葉を聞いて
私の心臓は煩くなる
それくらいとても嬉しくて
それくらい今までの中の誕生日の中で
“貰って”嬉しい言葉だった
数十回目のおめでとうの言葉
家族、友達にも言って貰えてた言葉
どれも嬉しかった
どれも素敵な“言葉”だった
今まで私も花を通して
色んな人に贈ってきた“言葉”
なのに、
それなのに、
一番私の中に響いた“おめでとう”
…嬉しい
『凄く、凄く、嬉しい…』
いつ知ったのだろうか
教えたことは無い
きっとお客さんの話でも聞いてたのだろうか
…だとしても
覚えてくれていたのだ
…それは、
…それは、期待しても…いいですか？
どきどきと心臓が動く度
身体中の血液が動き回ってる感覚
全身が心臓になったみたい…
少しでもなにか喋ったら
少しでも動いてしまったら
今にも溢れだしてしまいそうなこの気持ち
…嗚呼、大変────
ダメなのに
私なんかが恋なんて
花に捧げてきた人生
恋なんてわかる日が来るのだろうか、なんて
…それが、今だなんて────
彼を黙って見つめれば
彼も黙って見つめ返す
なにを、考えてくれているのだろう
もし、もし少しでも
ほんの少しでも
貴方の中に私が少しでもいたのなら────
『……月見草』
視界に入った綺麗に咲く月見草
珍しい花
だって夜にしかこの姿は見られないから
綺麗で儚くて…
まるでこんな夏の恋みたい
だからなのかもしれない
気がついたら私は彼に呟く
あなたに贈るなら月見草、と
彼は花言葉はなにかと聞いてきた
月見草の花言葉…
人知れずひっそり咲いて
朝にはもうその姿はない
いい意味も、悪い意味も…
そんな恋の花言葉
うつろな恋
ほのかな恋
移り気……
そして────
『…夏の宿題にしましょう』
そこまで言って言えないのは臆病な私
でも、言わなかったのは他にも理由があって
また、お店に来て欲しいから
そして、貴方に知って欲しいと思ったから
気付かないのならそれまでで
花のような恋
月見草みたいに私の恋は
人知れずに育ってしまったから…
これは夏の宿題
やるもやらないも彼次第
気付くも気付かないも彼次第
もし、答えがないのなら
月見草のように私は朝を迎えるから
大丈夫、これが最後の夏の恋────
淡い淡い花のような夏の恋────
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雅 - サチさん» サチさん、お久しぶりです。いつもありがとうございます。番外編も宜しければ(*^^*) (2021年12月3日 23時) (
レス) id: 62c9195d0c (このIDを非表示/違反報告)
サチ - お久しぶりです。西山さん、何やら新しい出会いですかね？楽しみです😊 (2021年12月1日 8時) (レス) @page17 id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、いつもコメントありがとうございます。お久しぶりです。返信遅くなりすみません。こちらの作品も最後まで読んでくださりありがとうございます。また、何かの機会に読んでくだされば嬉しいです。いつも本当にありがとうございます。 (2021年9月24日 0時) (レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 完結おめでとうございます！タイミングがなく、なかなか読めていなくて、完結に焦りました！でも、すごく素敵でした！本当にほっこりするお話しをありがとうございました！ (2021年9月18日 1時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2021年8月11日 21時
