限定ストーリー�◆覆箸△�2人） ページ20
「ブルースター」
「南米原産で暑さに強く……」
テーブルに1冊の本を広げ
隣どおしで席についている
俺はその本に書かれている内容を
ゆっくりと読み上げた
『…ふふふ』
嬉しそうに隣で目を閉じながら
俺の読み上げる言葉を聞いている彼女
どうやら彼女はこれが好きらしい
『梅原さんは、お声が素敵ですね───』
以前、彼女から言われた言葉
なぜかそれが嬉しくて
ちょっぴりなぜか照れ臭くて。
本当は恥ずかしいって気持ちはあるけど
嬉しそうに聞いてる
彼女を見ると俺もやめられなかった
勉強になるから、と
そんな薄い理由を盾に
つらつらと本の内容を読んでいく
「……」
『…ふふふ』
「…あの、」
ぶっちゃけ前から思ってた
「俺はさ？勉強になるけど、紬さんは詳しいでしょ？」
そう、当たり前な疑問
花博士みたいな彼女
基本の本だから彼女は退屈なのでは？
読んで聞かせるなら物語だって別にいいのだ
「いいんですよ、好きですから────」
好き、そのワードについ反応して片眉が動く
恋は駆け引き、と言うが
ここで反応してはなぜか癪だ
湯気をたてた珈琲を1口のみ、
軽く咳払いをして「…じゃあ」
そう言って続けた
読み聞かせ
彼女は好き、って言う
彼女は花が好きだ
彼女は言葉が好きだ
彼女は…俺の声が好きだ
そう、いつも言う
ちらりと彼女の耳元を見る
お洒落な補聴器が目に入る
きっと、
言葉を誰よりも意識する彼女だ─────
すきの理由も“それ”なんだろう、と。
ページをめくり、息をひとつ付き
また読み上げた
「バラ……」
バラの説明ページだ
今までと同じように読んでいく
「花言葉は…」
そう言った瞬間
『あっ！あっ！炊飯器スイッチ入れてませんでした！』
急に慌て出す彼女
「え、ああ、やりましょうか」
『あ、いや、あの！』
俺が立って炊飯器のそばまで行くと
…電源はついていて、
ちゃんと炊きあがりの用意は出来ていた
「ついてましたよ」
『…そ、そうでしたか』
うっかりさんだな、なんて思いながら
再び座ると
『お、お腹すきません！？』、と。
なんか変だ
いや、明らかに変だ
じーっと見つめていると
『あ…いや、その、』
髪を触り出しソワソワしている
…ああ、なるほどね
何となく予想がついて
俺は小さくにやりと笑う
そして彼女も何かを悟ったようにビクッとした
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雅 - サチさん» サチさん、お久しぶりです。いつもありがとうございます。番外編も宜しければ(*^^*) (2021年12月3日 23時) (
レス) id: 62c9195d0c (このIDを非表示/違反報告)
サチ - お久しぶりです。西山さん、何やら新しい出会いですかね？楽しみです😊 (2021年12月1日 8時) (レス) @page17 id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、いつもコメントありがとうございます。お久しぶりです。返信遅くなりすみません。こちらの作品も最後まで読んでくださりありがとうございます。また、何かの機会に読んでくだされば嬉しいです。いつも本当にありがとうございます。 (2021年9月24日 0時) (レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 完結おめでとうございます！タイミングがなく、なかなか読めていなくて、完結に焦りました！でも、すごく素敵でした！本当にほっこりするお話しをありがとうございました！ (2021年9月18日 1時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅 | 作成日時：2021年8月11日 21時
