第61話 ページ11
その日、俺は彼女の店を訪れた
そう、あの花言葉の答え合わせ
宿題の答え合わせしに────
俺を見て驚いた彼女は、
中へと入れると、いそいそと椅子を用意した
…あ、
お構いなく、長居しない
そういう意味で合図を送ると
彼女は急に笑顔を曇らせた
…わかりやすい
その笑顔はどんな気持ちで？
その曇った表情はどんな気持ちで？
…分からない
わかりやすい彼女なのに、
それがどういった意図で向けられているか
分からない
…そう、この花言葉も
幾つかある月見草の花言葉
正直あんまりいい意味は少ない
ただ、一番当てはまりそうなもの────
“無言の愛情”
なんど俺の中で考えても
ほかの言葉より、この言葉が一番適していると
導き出す
…分からない
分からなかった
彼女はどうしてこれを俺に？
だって紬さんには大事な人がいるんだから──
「無言の愛情」
そう俺は彼女に宿題の答えを聞く
彼女はまた分かりやすく
その言葉にだけぴくりと反応した
…じゃあ、なんで
…なんで俺になんかこの言葉を？
正解に一番適していて
一番俺が貰うべきでは無い言葉
月見草は片想いの花言葉を込めた言葉
俺に贈るなら、と君は言う
それは────
君が“そう”と思ってくれるから？
それとも俺が君に向ける“それ”に対して？
後者のように感じて俺は彼女に聞く
…だって俺では無いのだから
彼女には、大事な人がいるのだから
「…あれはどういう意味だったんですか？」
…分からないからこそ知りたかった
今までは後回しにしていたけれど
夏はもうすぐ終わるのだから
だから、今日はハッキリさせようと
長居をしないと決めて今この場で────
俺はキュッと手に持っていた
紙袋の取っ手を握りしめた
『それは…』
やっと口を開いた彼女
…と、その時────
「ワンっ！」
……ワン？
店の奥から何かやってきた
そう、大きめな犬
綺麗にお手入れされた頭の良さそうな
ゴールデンレトリバー
「え、犬飼ってた…『あ、ルイくん！』」
俺の足元に駆け寄る犬に近寄る彼女
…るい、…くん？
『こら、ダメですよ』
お客さんだからね、と
…ルイ？
…どっかで…
「…え」
『ん？』
「…るい…って、犬？」
『あ！紹介してませんでしたっけ！』
『私の“大事な家族”のルイくんです！』
その言葉を聞いて俺は膝から崩れそうになった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「梅原裕一郎」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雅 - サチさん» サチさん、お久しぶりです。いつもありがとうございます。番外編も宜しければ(*^^*) (2021年12月3日 23時) (
レス) id: 62c9195d0c (このIDを非表示/違反報告)
サチ - お久しぶりです。西山さん、何やら新しい出会いですかね？楽しみです😊 (2021年12月1日 8時) (レス) @page17 id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
雅 - サチさん» サチさん、いつもコメントありがとうございます。お久しぶりです。返信遅くなりすみません。こちらの作品も最後まで読んでくださりありがとうございます。また、何かの機会に読んでくだされば嬉しいです。いつも本当にありがとうございます。 (2021年9月24日 0時) (レス) id: 6254493976 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 完結おめでとうございます！タイミングがなく、なかなか読めていなくて、完結に焦りました！でも、すごく素敵でした！本当にほっこりするお話しをありがとうございました！ (2021年9月18日 1時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雅 | 作成日時：2021年8月11日 21時
