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溢れる個性、流れる涙 ページ15
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中島「お世話になりました。」
今までモデルや俳優として活動してきた僕だけど、今日で辞めると決めた。
事務所と何かがあったわけではない。
自ら望んで事務所を辞めた。
八乙女「裕翔おかえりなさい。早かったね。」
中島「辞めたんで。」
八乙女「…えっ、」
中島「自分から辞めるって言いました。それ以上でも以下でもありません。」
バタン
乱暴に閉めたドア。
そんなドアには多くの傷がついて、残っている。
何をする気も起こらなくて、ベッドに横になった。
天井を見ると、そこには今まで出た雑誌の表紙の数々。
アイドル活動で出したCDのポスターも、たくさん貼っている。
ベッドの横にある本棚に手を伸ばしてみても、特に興味が湧かなかった。
ゆっくり起き上がると、外にはボール遊びをしている子供たちの姿があった。
ずっと眺めていると、何故だか悲しくなってきた。
そうだよな。
僕はもう、あんな風に笑い、遊ぶことなんてできなくなるんだから。
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作者名：田中葵李 | 作成日時：2020年1月12日 18時
