【声優】マイペース声優と愉快な同居人～Ⅲ～ (ページ12)

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神谷side

皐「いつもありがとう神谷さん、A姉の代わりに来てくれて
最近自由兄も彰さんも忙しそうだから助かる」

流石Aの最初の妹、と言うべきか本当にそっくりだ
柔道だか空手だかをやってるお陰でがたいはいいんだろうけど、それでもAに似て細い
弟妹達の面倒見がよくてしっかりした子だ

神谷「…あのな皐ちゃん、今日は…大事な事言いに来たんだ」

皐「神谷さんが大事な話？私より柊兄に言った方が弟妹には伝わりやすいよ？
それとも私個人に何か話あるの？」

鋭いなやっぱり…
でも今柊は小さい子の相手中、伝達しやすいとは言えわざわざ呼ぶわけにもいかない

神谷「…Aが事故で声が出なくなった、一部記憶も失ってる」

皐ちゃんの問いに答えず、言いたい事を言うとまな板の音が止まった
どうしたのかと思い皐ちゃんの方を見ると、動きを止めて静かに涙を流していた

皐「それは…絶対なの…？それとも一時的なもの…？」

神谷「自由によれば…声の方は可能性としてはあり得るらしい…記憶の事はA自身が言ってた
事故当時の記憶が一部欠落してるだけみたい…」

考え込んでるのかただ思考が停止してるのかわからないけど、皐ちゃんはしばらく黙り込んだ後口を開いた

皐「昔から…昔からそう……なんで神様はA姉ばかりをいじめるの……？」

そう言って、悔しそうに涙を流しながら皐ちゃんはまた調理を再開した
涙が治まったのは…調理を終えて弟妹達を集める直前だった