【実ｼ兄者】シンデレラ・ストーリー【d!】 (ページ8)

今日:3 hit、昨日:15 hit、合計:56,278 hit

5 ページ8

緊張の糸が切れる。ほう、と息をついてから私は気絶したのを確認して立ち上がり、乱れた髪とヴェールを整える。それを目の前で見ていたニット帽の男はどうやら混乱しているらしく

｢は、え、あ、え？｣

と口から声を漏らしていた。まあ、混乱してしまうのも仕方ない。私も正直気絶するまでとは思いもよらなかった。

｢あの。ここ、宮内庁管理の御社なんですけど、さっきのは宮内庁からの配布物で、巫女が身を守るための護身用グッズらしいんですが……｣

粗方の説明をしてやるとだんだん落ち着きを取り戻したらしく、

｢ああ、ああ！そうか、ここそうや、御社やもんな。あんたは巫女さんで、あー、それはロボロが作っとったやつやんな。はえ～、よう出来とんなあ。｣

と一人で納得してしまった。まあ、落ち着いて貰えて何よりわかってもらえて一安心だ。
うんうん、と頷いていた男があ、と言ってこちらを振り返って笑う。

｢せや、俺、シャオロンって言うねん。｣

男は名を名乗ってますます笑みを深める。その笑みと名前をどこかで聞いた気がして思考を廻らす。

｢………………えっ？！シャオロン様ですか！？｣

そう、この人懐っこい笑顔、ニット帽にシャベル、それにシャオロンと言えばこの国の幹部の一人である。私のような身分では(宮内庁に務めていようとも)到底話すことの出来ないようなお方だ。