253 ページ25
.
廉「そういう子やからな、Aは。」
『そういう子？』
廉「大丈夫や、って。」
まるで諭すような暖かい目で私を包んだ廉
廉「心配なんは分かる。
昔っからAが友達思いなんも知ってるし。
けどAが暗い顔してもしゃあないで。な？」
廉の言葉はいつも魔法みたい。
不思議と心の中が晴れていく気がした
私が頷くと満足そうに微笑む
廉「てか思っててんけどさ。」
『ん？』
廉「ええねんで？そんな毎日料理頑張らんくても。」
思わぬ言葉に小さく声が漏れた
廉「Aも仕事で疲れてるんやから
たまにはこういう簡単なものでも俺嬉しいし。」
やっぱり敵わない
廉はいつも私の想像を超える優しさをくれる
廉「久々に食べるとうまいやん、カップラーメンとか。」
『そんな物出さない！』
廉「分かってるわそんなん！例えや例え！」
こうやって食卓に笑いが溢れる
一緒に暮らして廉の優しさが身に染みて分かるようになった
『…ありがと、廉。』
口角を片方キュッと上げて照れる姿
胸がジワっと溶ける感覚がした
こんなに優しくていつも私も暖かく包んでくれて
私を自然と笑顔にしてくれる
＿＿＿＿＿“俺がAの笑顔の理由になる。”
その言葉を廉は現実にしてくれた。
大学生になって就職してその間に出会いや別れや再会があって
だけど廉は変わらなかった、ずっと。
幼かった頃の言葉なんてどれも
紙飛行機みたいにどこかへ飛んでいってしまうほどの重さしかなくて
きっとそれが届くか届かないかの違い。
けど廉は誰よりも確かな想いと覚悟を乗せて
私に真っ直ぐ飛ばして届けてくれた。
今までの廉との出来事一つ一つが頭の中で映し出される
…こんな人、世界中探してもきっと廉しかいない。
『っわ！』
ボーッとしていた私の視線に迫る廉の指先に声を上げると
鼻先にちょこんと指が触れた
廉「ボーッとしてへんで、はよ食えや。」
違和感のある鼻先に触れると手に付くカレー
廉「はよせんと俺がA食うで？」
ニヤッとした悪い顔
…恥ずかしい。
心臓がドクンと波打って全身に広がる感覚は
何年経っても慣れない
『っ、うるさいっ！』
廉を睨みつけてカレーを黙々と口に運ぶと
また悪い顔をしてお風呂へと消えてく背中
こういう小さなことが幸せで
だから私はずっと笑っていられる
今までも、それはきっと
これからも。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1776人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
masumi(プロフ) - 初めまして。更新まっていたので嬉しいです(*^-^*)もう一度最初から読み直してみようと思います。続きもどうぞよろしくお願いします＾＾ (2022年8月18日 10時) (
レス) @page46 id: 773d2c854b (このIDを非表示/違反報告)
夏希(プロフ) - 更新してくださって嬉しいです(涙)ありがとうございます！何年も待っててよかったです！前のお話読み返しながら楽しみにしてます。 (2022年8月18日 9時) (レス) @page46 id: 0d02ac1782 (このIDを非表示/違反報告)
なおちゃん - はじめまして。作品読ませていただきました！毎晩子供達が寝てから読んでました。涙なしでは読めなくて、すごいストーリーに入り込んで夢中になりました。続き楽しみにしています！ (2021年5月17日 10時) (レス) id: 9300674cb4 (このIDを非表示/違反報告)
nagomi0625(プロフ) - 先日、この作品に出会い一気に読ませて頂きました。続きがとても気になります！この作品が完結するの楽しみにしています！更新待ってます。 (2021年2月10日 14時) (レス) id: 90023824b3 (このIDを非表示/違反報告)
bloom(プロフ) - とても夢中になって読み進めてしまいました！大変だと思いますが更新頑張ってください！楽しみに待っています (2020年8月8日 11時) (レス) id: 8a8ded8f17 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海羅
| 作成日時：2018年2月26日 4時
