131 ページ31
.
理解できない、って私の顔を見た勇太が続ける
勇太「みんなと一緒にいたっていう証明。
そのために、ここ。卒業したいんだって。」
紫耀、そんなこと思ってたの？
海人を見ると優しく笑って頷いて
“ずっと、俺らと一緒”
夕焼けの日の海人の言葉をやっと理解した
凜「いっつもそんな素振りみせないくせに。」
海人「俺らのこと大好きなんだよね〜本当は！」
一瞬でも
私たちのことどうでもいいんだ、って
紫耀のことを疑った自分が嫌になった
紫耀なりの、答え。
紫耀の家が離婚してることも知ってるし
家庭の事情が何かは分からないけど
遠い場所から、この高校を卒業するなんて
大変な選択をしたのは
紛れもなく私たちが理由で。
素直に嬉しかった。
ダメだ、紫耀を信じてあげなきゃ。
大変な道を選んだんだから、私たちのために。
廉「土日とか来るんやったら
みんなで会えたらええなぁ。」
凜「会おう！会おうよ！会えるじゃん！」
海人「うん、いなくなったけど
辞めたわけじゃないし、会えるしね！」
勇太「だから、今まで通り。
きっと、ひょこっと顔出すよ、紫耀のことだから。」
なんてことない。
会おうと思えば、きっと会えるんだ。
この教室にいなくても。
教室にいなくても
紫耀の席が空いてても
私たちと卒業する道を選んだ紫耀を
私たちが信じてあげないでどうするんだ。
大丈夫。
神様はきっと、そんなに意地悪じゃない。
また、あの私が大好きな
優しいフワッとした笑顔を
そばで見れるはず。
机に置いた左手がギュッと握られて
そこには不安そうな廉の顔
『大丈夫だよ？』
そう言って私が微笑むと
張り詰めた糸が緩むみたいに廉もつられて笑顔になる
閉まってた気持ちが顔を出すことももうない。
そう、廉がいてくれるから。
紫耀がいなくなった今
廉としっかり向き合えるきっかけになる気さえした
.
.
.
海人「紫耀元気かな〜。」
『名古屋も寒いかな。』
あの日、紫耀が窓から見ていた蒼い葉の揺れる木は
すっかり姿を変えて色をなくして
思わず制服のセーターの袖を指先まで伸ばす
私たちの間では自然と“紫耀”の名前が出てて
けど、紫耀が存在するのは
もう私たちの会話の中だけ。
寒さも本番を迎えようとしていた頃
紫耀がどこで何をしてて
元気にしているのかさえ
知る術はもう誰にもなかった
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 670人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海羅(プロフ) - ShiRaSuさん» ShiRaSuさん、コメントどうもありがとうございます。お褒めのお言葉嬉しいです。とても励みになります！これからも頑張って更新していきますので読んでいただけたら嬉しいです。またコメントもお待ちしてますね。ありがとうございます。 (2017年6月18日 18時) (
レス) id: 3f3c8daa7f (このIDを非表示/違反報告)
ShiRaSu - チョーゼツ面白いですね！ 続きが楽しみです！ (2017年6月17日 22時) (レス) id: dd3f7bf8fe (このIDを非表示/違反報告)
海羅(プロフ) - 樹里亜さん» 樹里亜さん、コメントありがとうございます。そのお言葉、すごく励まされます！とても嬉しいです。これからも頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。またコメントもお待ちしてますね。ありがとうございます。 (2017年6月12日 1時) (レス) id: 3f3c8daa7f (このIDを非表示/違反報告)
樹里亜(プロフ) - すごく話に入り込みやすい作品で、気に入ってます！更新頑張って下さい！ (2017年6月11日 19時) (レス) id: cc2f6a9c78 (このIDを非表示/違反報告)
海羅(プロフ) - みさとさん» ミスがありまして、コメントの方再度返信させていただきます、すみません。初めてのコメントで本当に本当に感激しました（泣）全ての言葉が励みになります。これからも更新していきますので是非読んでいただけたら嬉しいです。またコメントもお待ちしてますね。 (2017年5月29日 8時) (レス) id: 3f3c8daa7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海羅
| 作成日時：2017年4月23日 22時
