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第1話 ページ2

カツカツカツ……

静かな廊下に、自分の靴音だけが響く。
天井の蛍光灯に照らされた自分の影がいくつも重なって、床にたくさんの分身を作り出していた。
遠くから、微かにいつもの仲間たちの声が聞こえる。
周囲に誰もいないことを確認し、ホッと息を吐いた。


「おい」


突如、誰の気配も感じなかった空間から、声がかかる。
聞き覚えのある声に、思わずビクリと肩を震わせた。
恐る恐る振り返ると、悪魔さえも逃げ出しそうなほどの睨みを利かせた我が同僚、降谷零その人がいた。


「あ、降谷様……あはは、お帰りで?」

「お帰りなのはお前だろう」


冷汗がだらだらと流れ、顔が引き攣る私に対して、彼は表情筋をぴくりとも動かさずにそう言った。


「いやあの、これはですね、少し休憩を取ろうかなー、と」

「そのカバンは何だ」


見苦しい嘘だが、素直に「帰ろうと思いまして!」なんて言ったら即座に彼お得意の右ストレートが飛んでくるに違いない。


「うっ……お、お手洗いに行こうと思いまして!は、ハンカチとかを!」

「ならハンカチだけ持っていけ。カバンは俺がお前の席まで持って行ってやる」

「そ、そんなこと、我らが降谷様にさせることなんてできませんよ!」


結局オフィスまで連れていかれるのであろうが、ギリギリまで粘ればそれだけ仕事をする時間を少なく出来る。
今日は書類仕事が多く、既に気が滅入っているのだ。
この上他人の仕事まで押し付けられてはやっていられない。


「いつでもそう思ってくれればいいんだが」

「思ってるわよ!」

「じゃあ俺の仕事を手伝ってくれ」

「それはお断り!」


にっこりと最高の笑顔で言ってのけると、予想通り顔のギリギリに右ストレートが決まる。


「ひっ……」

「当たらなくて良かったな」

「当てる気だったの!?」


彼は私の質問には答えず、ずるずると私の腕を引っ張って、仲間たちの声がする方へ引きずっていった。


"ちょっと降谷、誘拐よ!これ!"

"仕事をしないやつを引きずって何が悪い"

"自分の仕事は終わってるってば!いた、いたいいたい!"

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設定タグ:暗殺教室 , 名探偵コナン , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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恋(レン) - めちゃおも!ガンバって!сражатесь! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 78c191449c (このIDを非表示/違反報告)
れいんぼぉー(プロフ) - 朝霧さん» ありがとうございます!ほぼ私が読みたいがために書き始めたようなものなのですが、そう言っていただけると嬉しいです!これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします! (2018年1月6日 8時) (レス) id: 6eca2fb2bd (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 - めっちゃ面白いです!!どっちの話も好きなので、こういった小説が読めて凄く嬉しいです!これからも更新頑張って下さい!楽しみにしてます! (2018年1月6日 0時) (レス) id: 245aacf69a (このIDを非表示/違反報告)
れいんぼぉー(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!更新、ゆっくりかもしれませんが頑張っていくので、応援よろしくお願いします! (2017年12月24日 11時) (レス) id: 6eca2fb2bd (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - とても素晴らしい作品ですね!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2017年12月23日 19時) (レス) id: a78c622004 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れいんぼぉー | 作成日時:2017年12月23日 14時

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