うちの母、再婚しました

butler.36 ページ36

『それでは、第70回体育祭を開催します！』




色々抱えたまま、とうとう来てしまったこの日。



実は、あの写真が入れられた日以来、嫌がらせはばったり途絶えていた。



…けど、油断は出来ない。




望「汐里、緊張してる？」



「…うん、ちょっと」




多分、体育祭だからっていう緊張じゃないと思うけど。



うちの学校の体育祭は、近所の大きなドームを借りて行う。



そういうお金はあるらしい(笑)




望「当分出番ないから、席行っとこ」



「うん。…あ」




席は決められていて、生徒席の反対側が保護者席になっている。



その1角に、見慣れた顔が6つ。



最初に目が合ったのは崇裕で、満面の笑みでぶんぶん手を振ってきた。




「…子供みたい(笑)」




他のみんなも気付いて、こっちに手を振った。



望と手を振り返して、席に座った。




.




試合も白熱してきて、そろそろ終盤。




「もうすぐだね」



望「ん。そろそろ行くか」




自分のクラスの色のハチマキを巻いて、競技場所に降りた。



…やば、緊張してきたかも。



よく分からない緊張に体を固くしていると、望が私の肩を叩いた。




望「汐里」



「ん…？」



望「あれ」




望指さす先には、全力でガッツポーズをする6人の姿があった。



崇裕が、大きく口を開けた。




「…が、ん、ば、れ…？」



望「よぉ分かったな(笑)」




愛の力かな。



…なんて茶番は置いといて。




望「緊張、とれたんちゃう？」



「そうかも…！よし、行ってくる！」



望「頑張れよ！」




親指を立てて、スタートラインに立つ。



ちょうど崇裕はゴール付近にいた。




『位置について、よーい』



パァンッ！




その合図と共に、ゴール目掛けて走り出した。

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