episode31 ページ34
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「すげえ…何だ今のスピード！」
七海が感嘆の声を上げる。天馬も信助も輝いた表情で神童を見る。
しかし、相手チームやキーパーの三国にとっては、神童のプレーの意味を瞬時に理解できなかった。
「ちょっと、何してんの〜？この辺で俺たちに1点上げる方が得策じゃない？？」
「点は入れさせない。
…俺は、フィフスセクターの指示には従わない！」
その宣言は、相手チームのみならず味方すらも驚愕させた。
「なっ⁉」
「おいおい、冗談だろ…」
ーー冗談？いいや、本気さ！
ボールを持った神童は、1人前線へと上がっていく。フィフスセクターからの指示が出ている試合では今まで1度もしなかった、強気のプレーだ。
「血迷ったか、神童！フィフスセクターに逆らえば未来は無いぞ！」
そう言いながら前を塞ぐのは隼総だ。
何を言われても変わらない、もう答えは決まった。
ホーリーロードが始まるまで、自分はどうするべきかずっと考えていた。
何が正解か、そんな答えは出なかった。
"正しさ"というもの自体、その人のものさしによって変わるのだ。万人にとっての正解など見つかるわけがない。
ならば、自分は？
「未来は自分の力で切り開く！」
フィフスセクターの呪縛から逃れて、自由に羽ばたくことをずっと求めていた。
無視し続けてきた自分の本当の気持ちにようやく正直になれた。
もうーー自分を裏切りたくない。
大好きなサッカーを裏切りたくない。
『ありがとう。
俺もサッカーを諦めない。』
ーーそれが俺にとって、一番後悔しない選択だ！
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作者名：成瀬ひかり | 作成日時：2020年9月14日 14時
