肆拾捌 ページ48
「須磨さん!まきをさん!」
住人の女性を背負い、男性を引き連れながら走っていると宇随の嫁のうち二人を見つける。
雛鶴は見当たらない。
「Aさん!なにか手伝えることはある?!」
とまきをさんが声をかけてくれる。
「住人の避難をお願いできますか?!思うように動けず戦えません。この方達も連れて行ってあげてください」
背負っていた女性をまきをさんに引き渡す。
すぐにその場を立ち去ろうとしたが、須磨さんに手を掴まれ、引きとめられてしまう。
「お願いします!天元様を…!!」
以前の私なら、彼女の気持ちを受け入れられなかったかもしれない。
だが、今ならわかる。愛するものを失う怖さを。
「全力で私も宇随さんと共に戦います。生きて必ず、再会しましょう」
私は少しだけ微笑むと、屋根に飛び乗り、元来た道を辿るように引き返す。
少し先の屋根の上で激しい戦闘が繰り広げられているのが見える。
私はハッとする。
「そんな…っ!雛鶴さん!!」
宇随の妻の一人、雛鶴がまさに戦場と化している場所に向かって、私と同じように屋根を伝って走っているのを見つけたからだ。
(右足が上手く動かなくなってきてる…っ!)
いつもならすぐに追いつけるのに、雛鶴との距離はなかなか縮まらない。
右足の感覚が、かなりなくなってきていて、動かせているのかもわからない。
(なにをするつもり…っ)
雛鶴は屋根の上で何かを構える。
その瞬間、そこからクナイが何本も飛び出した。
下の戦況は見えない。
だが、ほんの1分足らずで雛鶴は鬼に口を塞がれるように捕まってしまう。
「雛鶴ーーー!!!!!」
宇随の声が響き渡る。
ザンッ
私が追いつくより早く、雛鶴を掴む鬼の腕が切断される。
私は雛鶴と竃門くんを飛び越える。
「よくやりました、竃門くん!」
「竃門炭治郎、お前に感謝する!!!」
私は正面から、宇随は後方から鬼の頸を狙い、刃を振るう。
だが…
「お前らが俺の頸斬るなんて無理な話なんだよなぁ」
見事に私の斬撃も、宇随の斬撃も鎌によって塞がれる。
「チッ…」
と私は舌打ちをして、刀を引こうとする。
その瞬間、鎌は日輪刀を巻き込むように変形し、抜けなくなる。
「A、踏ん張れ!!」
その言葉に、「踏ん張れるわけない」なんて返す暇もなく、宇随は鬼にもう一本の日輪刀を刺して飛び上がる。
(私も持っていかれる…っ!)
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もちごめ(プロフ) - とても面白いです!1つ気になったのが、煉獄さんは柱の人たちを呼び捨てで呼んでいます。胡蝶、宇髄のような感じです。口調も「〜だね、〜かい?」ではなく「〜だな!〜だろう!」と言ったように喋ります。口出し失礼致しました…!! (2020年11月21日 9時) (レス) id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - メリアさん» コメントありがとうございます。煉獄さんの人の呼称が迷走してしまい申し訳ありませんm(_ _)m順次修正させていただきますのでお待ちくださいませ。楽しみにしていただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年8月24日 13時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 口出しすみません!煉獄さんは(名前)少女/少年と呼ぶと思います。冨岡、と呼んでいます。本当にすみません!いつも楽しみにしてます! (2019年8月24日 12時) (レス) id: 25b2169fce (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - 蜜柑さん» それが実は私にもわかりません!頑張ります!ありがとうございます^ ^ (2019年8月20日 20時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - いやぁーどうなっちゃうんでしょうね?これからがすごく楽しみです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: aebba032ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あめ | 作成日時:2019年8月18日 9時