参拾漆 ページ37
「俺たちはいつ死んでもおかしくねぇ。それは俺もお前も、冨岡だって同じだ。」
宇随の言葉を私は真剣に聞く。
「だからこそ、生きている今を、一瞬でも長く一緒にいたいって思うんじゃねえか。
それにお前にとって冨岡と過ごす時間は苦痛なのか」
「そんなことありません!とても…とても安らげる温かい時間です…」
「お前がそう思うように、あいつもそう思ってる」
宇随の言葉に、目を見開く。宇随の言葉は確信した物言いで自信のある表情をする。
今まで冨岡義勇が私と過ごす時間をどのように感じているかだなんて考えたこともなかったからだ。
「そう思われてるんでしょうか…?」
「想われてるよ」
「宇随さんは、ご結婚されて後悔したことは…」
「ない。今までも、これからもねぇな。嫁たちにさせる気もしない」
宇随は私に微笑みかける。
その綺麗な顔に思わず見惚れる。
まぁ、冨岡も宇随に負けず劣らずの美形なのだが。
私は先程出されたお茶をグイッと一気に飲み干した。
「宇随さん、ありがとうございます」
「おう!派手にぶつかってこい!」
「派手に行ってきます!」
私が立ち上がると、宇随さんも立ち上がる。
門まで見送ってくれるらしい。
「持ってきてくれた重箱は洗って返すからよ」
「お忙しいでしょうし、いつでも大丈夫です」
私はもう一度宇随に礼をすると、宇随邸を後にする。
「
鴉が私の肩に止まる。
いつのまにか日は傾き、夕陽へと姿を変えようとしている時間だった。
「義勇さんに、近いうちに会いたいと…
伝えたい。早く。
これから鬼を狩りに行かなければならないというのに、こんな気持ちで行ってもいいのか。
不思議な高揚感に包まれながら、私は夕陽の中、鬼が出ると噂される場所へと向かった。
一瞬でも長く…。一緒に…。
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大正コソコソ噂噺
(む!どうしたんだい!冨岡!元気がないようだ!)
(…)
(あれは!Aくんの鴉だね!)
(!)
(む!どうやら元気が出たようだ!)
実は保留にされて落ち込んでた義勇さんなのでした。
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もちごめ(プロフ) - とても面白いです!1つ気になったのが、煉獄さんは柱の人たちを呼び捨てで呼んでいます。胡蝶、宇髄のような感じです。口調も「〜だね、〜かい?」ではなく「〜だな!〜だろう!」と言ったように喋ります。口出し失礼致しました…!! (2020年11月21日 9時) (レス) id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - メリアさん» コメントありがとうございます。煉獄さんの人の呼称が迷走してしまい申し訳ありませんm(_ _)m順次修正させていただきますのでお待ちくださいませ。楽しみにしていただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年8月24日 13時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 口出しすみません!煉獄さんは(名前)少女/少年と呼ぶと思います。冨岡、と呼んでいます。本当にすみません!いつも楽しみにしてます! (2019年8月24日 12時) (レス) id: 25b2169fce (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - 蜜柑さん» それが実は私にもわかりません!頑張ります!ありがとうございます^ ^ (2019年8月20日 20時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - いやぁーどうなっちゃうんでしょうね?これからがすごく楽しみです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: aebba032ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あめ | 作成日時:2019年8月18日 9時