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参拾 ページ30

蝶屋敷に行く道すがら、お館様が呼んでほしいと仰られていた隊士、村田に声をかける。



村田は緊張した面持ちで「わ、わかりました…!行って参ります!」とかけていった。



蝶屋敷に着くと、アオイの大きな声が響いていた。




「アオイ…、少し声を抑えなさい。外まで聞こえてますよ」

「あ、Aさん…って、キャーーー!どうしたんですかその傷!早く手当を!」


アオイは血塗れになった私の左腕を見て発狂する。



「大丈夫よ、大したことない。それより、隠の方が背負ってる子の方が重傷だから、先にベッドに案内してあげて」

「は、はい!こちらへどうぞ!」



隠の1人に禰豆子の入った箱を渡す。


「竃門くん…、手荒なことしてごめんなさい。」

「い、いえ、Aさんは怪我までして禰豆子を乱暴なあの人から助けてくれただけです!ありがとうございます」



隠に連れていかれ、会話はそれしかできなかったけれど、どうやら竃門くんは私に対しては怒ってはいないらしい。





「違うわ……私は禰豆子を守ったんじゃない。」



あの人が命をかけてまで守ろうとしたものを、ただ試しただけだ。
切った傷を見つめる。もう血はあまり出ていない。
もしあの時、禰豆子が私を襲っていたら……私は…。





「Aさん、お待たせいたしました!」

「!」

「Aさん?」

「なんでもないわ、アオイ。そんなに深くはないから、とりあえず血を洗い流して、包帯だけでも巻いてくれる?」

「わかりました!こちらへどうぞ」



アオイに連れられ、蝶屋敷の中へと入っていく。








禰豆子が私を襲っていたら___、






私は迷わず、禰豆子の首を切り落としていただろう。



そしてこう言っていた。




問題の鬼はもういない、切腹の必要はない。




これで万事解決だ。







自身の中の醜い感情を許せなくて、拳を握りしめる。
筋肉が緊張し、皮膚が引っ張られ、せっかく止まりかけていた血は再び熱を持って溢れ始める。




ドクドクと脈を打ちながら流れる血は、拳を伝い、床へと落ちる。




「Aさん、また血が!心臓より高く上げてください!」



慌てたアオイは返事をしない私の腕を強制的に上げさせる。




「Aさん?」


返事をしない私にアオイは心配そうに話しかける。
私は力なく微笑むことしか出来なかった。








ああ………わかってしまった。





(これはただの______………… 嫉妬だ)

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もちごめ(プロフ) - とても面白いです!1つ気になったのが、煉獄さんは柱の人たちを呼び捨てで呼んでいます。胡蝶、宇髄のような感じです。口調も「〜だね、〜かい?」ではなく「〜だな!〜だろう!」と言ったように喋ります。口出し失礼致しました…!! (2020年11月21日 9時) (レス) id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - メリアさん» コメントありがとうございます。煉獄さんの人の呼称が迷走してしまい申し訳ありませんm(_ _)m順次修正させていただきますのでお待ちくださいませ。楽しみにしていただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年8月24日 13時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 口出しすみません!煉獄さんは(名前)少女/少年と呼ぶと思います。冨岡、と呼んでいます。本当にすみません!いつも楽しみにしてます! (2019年8月24日 12時) (レス) id: 25b2169fce (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - 蜜柑さん» それが実は私にもわかりません!頑張ります!ありがとうございます^ ^ (2019年8月20日 20時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - いやぁーどうなっちゃうんでしょうね?これからがすごく楽しみです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: aebba032ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あめ | 作成日時:2019年8月18日 9時

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