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「冨岡さん、これもよろしければ」



私から受け取った紐と、彼自身が持っていた竹で猿轡(さるぐつわ)のようなものをつくると少女鬼の口にあてがう。
少女鬼を少年の横に横たえさせる。


先程私たちを襲ってきた鬼とは思えぬ程穏やかな表情をした少女を見て、私は眠る時に使う羽織を持っていた風呂敷包みの中から取り出し彼に手渡した。




「冨岡さん」

「……なんだ」

「これは隊律違反になりますかね?」


冨岡さんは渡した羽織を広げ、少女にかけると私の側にゆっくりと近づいてくる。
私は近くの木の根元で、膝を抱えて座り込んでいた。


と言っても、雪で尻が濡れてしまうのは嫌なのでお尻を地につけることなく座っている。




「…俺が責任をとる」

「あら、いいんですか?まぁ、そうしていただけると私と致しましてはとてもありがたいのですけれどね」



彼は私の座り込む木に背中を預ける。
彼のこの行動に意外性を感じつつも、きっと悪い人ではなく、ただ口下手で誤解を生む性質があるのかもしれないと少し彼への考えを改める。




「冨岡さん」


今度の呼びかけには彼は答えてくれない。
勝手に喋るのでいいけれど。




「紐も…、羽織も提供させていただきました。隊律違反にも目を瞑りましたよー、私」

「…感謝す… 「感謝???」

「……ありがとう…」

「はい、どういたしまして」





意外と扱いやすい彼が面白く思わずクスリと笑みがこぼれるのを隠すように、気温が低く、冷たくなる指にハーっと息を吹きかける。





「また冷えてきましたね…」

「………ああ…」




それ以上の会話はなかったけれど、前より幾分か彼と打ち解けられた気がした。
なにより、苦手だと思っていた彼との沈黙は苦ではなかった。

肆→←弐



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もちごめ(プロフ) - とても面白いです!1つ気になったのが、煉獄さんは柱の人たちを呼び捨てで呼んでいます。胡蝶、宇髄のような感じです。口調も「〜だね、〜かい?」ではなく「〜だな!〜だろう!」と言ったように喋ります。口出し失礼致しました…!! (2020年11月21日 9時) (レス) id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - メリアさん» コメントありがとうございます。煉獄さんの人の呼称が迷走してしまい申し訳ありませんm(_ _)m順次修正させていただきますのでお待ちくださいませ。楽しみにしていただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年8月24日 13時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 口出しすみません!煉獄さんは(名前)少女/少年と呼ぶと思います。冨岡、と呼んでいます。本当にすみません!いつも楽しみにしてます! (2019年8月24日 12時) (レス) id: 25b2169fce (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - 蜜柑さん» それが実は私にもわかりません!頑張ります!ありがとうございます^ ^ (2019年8月20日 20時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - いやぁーどうなっちゃうんでしょうね?これからがすごく楽しみです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: aebba032ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あめ | 作成日時:2019年8月18日 9時

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