拾参 ページ13
「知りません」
胡蝶しのぶは素敵な笑顔でそう答えた。
前回の任務で負傷した時の傷はしのぶのお陰でだいぶ塞がり、今回抜糸に来ていた。
「知りませんって、しのぶさんは薬学もさることながら、医学にも精通なさってるじゃないですか、たまに胸がギュッとするんです。熱くもなります。病気ではないですか?!」
「今の貴方のご様子では、現在進行形ではなくてごく稀に…… と み お か さ ん に会った時のみに起こる症状なのですよね?」
「ち、違います!私は一言も冨岡さんだなんて申し上げておりません!」
私は彼女に"ある人物"と会ったときにたまに、そのような症状があると伝えただけだ。
彼女は黙々と抜糸を続けていて、私も反論に熱こそ入っているものの身体は動かないように努めた。
少しチクチクとした感覚が何度かしたのちに、
「終わりましたよ、ガーゼは取れてしまったらそのままで結構です。」
と抜糸に使った小さな鋏のようなものと、ピンセットを置きながら言った。
「こちらは真剣にお伺いしているのに…酷いです。」
そう言いながらボタンを留めていく、鬼殺隊の隊服の上着も着て、着衣を整えていく。
「Aさん、本当はお気づきなのですよね?その質問は、もっと適任がいらっしゃると…」
しのぶの言葉にバツが悪くなり、口をすぼめてソッポを向いてみた。
「蜜璃に相談したって…あの子は説明が上手くないのです…。どうしたらこの症状が収まるのか、蜜璃に伺っても解る気がしません」
「では冨岡さんに会わなければ良いのでは?」
「…へ?」
「冨岡さんに会わなければその症状は出ませんし、万事解決ですね」
「そ…!それは……」
「それは?」
「それは…イヤ…です…」
「やっぱり冨岡さんなのですね」
ハッとしてしのぶの顔を見れば、彼女はいつもの様に微笑んでいて、もう否定しても無駄、私の刺している人物はバレバレなのだと諦めた。
「だ…誰にも言わないでください」
「善処いたします」
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もちごめ(プロフ) - とても面白いです!1つ気になったのが、煉獄さんは柱の人たちを呼び捨てで呼んでいます。胡蝶、宇髄のような感じです。口調も「〜だね、〜かい?」ではなく「〜だな!〜だろう!」と言ったように喋ります。口出し失礼致しました…!! (2020年11月21日 9時) (レス) id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - メリアさん» コメントありがとうございます。煉獄さんの人の呼称が迷走してしまい申し訳ありませんm(_ _)m順次修正させていただきますのでお待ちくださいませ。楽しみにしていただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年8月24日 13時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 口出しすみません!煉獄さんは(名前)少女/少年と呼ぶと思います。冨岡、と呼んでいます。本当にすみません!いつも楽しみにしてます! (2019年8月24日 12時) (レス) id: 25b2169fce (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - 蜜柑さん» それが実は私にもわかりません!頑張ります!ありがとうございます^ ^ (2019年8月20日 20時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - いやぁーどうなっちゃうんでしょうね?これからがすごく楽しみです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: aebba032ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あめ | 作成日時:2019年8月18日 9時