弐 ページ2
「冨岡さん、注意散漫ですよ」
私は彼に向かって回転しながら飛んでくる斧を鞘に収まったままの剣で弾きながら彼の斜め前に降り立つ。
斧は軌道をそれて彼、冨岡義勇の顔面横を通過し後ろの木に突き刺さる。
「ちょっと、今私、貴方を助けたんですけれど」
「……感謝する…」
「ありがとう」
私は彼にズイッと顔を近づけ、そう言うように促す。
彼は表情こそ崩さないものの顔を大きく仰け反り驚いた反応を見せる。
「あ り が と う」
「…ありが とう」
「はい、どういたしまして」
私は満足したように微笑んで見せると、彼は視線を大袈裟に逸らした。失礼な。
「ところで…この少年はどうされるのですか?…そちらの鬼さんも」
彼の前に倒れている少年と、今まさに彼が腕を拘束して暴れている鬼に視線をやる。
その瞬間、少女鬼は冨岡さんの拘束をほどき、蹴り飛ばす。
「冨岡さん!」
間髪入れずに私に襲いかかってくる少女を避けるように、私は冨岡義勇の隣まで大きく後退する。
この判断は間違いだった。
少女鬼は、倒れている少年に向かって駆け出した。
「しまった!」
食われる。
恐らく、冨岡さんもそう思ったのだろう、動きに焦りを感じた。
しかし、少女鬼は少年を襲うことなく、私たちに向かいあう。
まるで、少年を守るように…。
「冨岡さん、大丈夫ですか?」
「…問題ない」
「この現場は元々、冨岡さんが対処してたわけですから…判断はおまかせいたしますね」
鞘に収まったまま構えていた剣を、元の腰の位置へと収める。
要約しよう。
(どんな判断をしても、どんなことになっても、全責任は貴方…冨岡義勇にあります)
と私は彼に全責任を押し付けたのだ。
その言葉に、冨岡義勇は戸惑うことも反論することもなく、
襲いくる少女鬼を気絶させると、私に向かってこう言った。
「紐を持っているか」
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もちごめ(プロフ) - とても面白いです!1つ気になったのが、煉獄さんは柱の人たちを呼び捨てで呼んでいます。胡蝶、宇髄のような感じです。口調も「〜だね、〜かい?」ではなく「〜だな!〜だろう!」と言ったように喋ります。口出し失礼致しました…!! (2020年11月21日 9時) (レス) id: 2c19e184ee (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - メリアさん» コメントありがとうございます。煉獄さんの人の呼称が迷走してしまい申し訳ありませんm(_ _)m順次修正させていただきますのでお待ちくださいませ。楽しみにしていただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年8月24日 13時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 口出しすみません!煉獄さんは(名前)少女/少年と呼ぶと思います。冨岡、と呼んでいます。本当にすみません!いつも楽しみにしてます! (2019年8月24日 12時) (レス) id: 25b2169fce (このIDを非表示/違反報告)
rina214skt2(プロフ) - 蜜柑さん» それが実は私にもわかりません!頑張ります!ありがとうございます^ ^ (2019年8月20日 20時) (レス) id: 74af5ac913 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - いやぁーどうなっちゃうんでしょうね?これからがすごく楽しみです!更新頑張ってください! (2019年8月20日 16時) (レス) id: aebba032ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あめ | 作成日時:2019年8月18日 9時