お隣さんのお隣さん【紫】 (ページ10)

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お隣さん.10 ページ10

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「っていうかまさか私のこと本気にしてないですよね。」

「大丈夫。
流石に出会って1日に満たない子に本気で惚れたりしない。
でも、百戦錬磨の男としては、君みたいな子に彼女になりたいって言わせたいなって思っただけ。」

うわぁ、趣味の悪い…。
やっぱり彼は夜の人なのだと改めて思うけれど、どこかその言葉には似合わないほどの親しみやすさがある。

「……そうだ、名前、聞いてなかったね。
自己紹介からしよう。
俺は深澤辰哉。とあるバーでまあ夜の接待してる。」

「上村Aです。企業でOLしてます。」

「ん、Aちゃんね。
…ところで時間は大丈夫かい？」

「深澤さんと違ってちゃんと時計見て動く習慣はついてますよ。」

食べ終わった後もベッドでごろごろしだした彼に少し悪態をつきながら、軽くメイクを済ませる。

「送ってってあげようか…って言いたいとこだけど、俺免許持ってないんだよね。」

「そのずぼらな加減だとそうでしょうね。」

「うわ、ひでー。
俺多分、Aちゃんが帰ってきた時には仕事行っちゃってるから。これ合鍵ねー。何か用があったら勝手に入って。あ、通帳は盗んじゃだめだよ？」

「そんなことしませんよ。
…いってきます。」

「おー、いってら。」

ひらひらと手を振りながら温かい笑顔で見送ってくれた。…なんか本当に恋人が出来たと勘違いしそうなくらい幸福感に包まれた朝。

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