お隣さん.35 ページ35
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「俺たちはみんなの働くオフィスビルの一階フロアを間借りして美容室を続けるよ。」
「会社員してるこいつら眺めるにはちょうどいい場所ってことで阿部に提案された。」
「みんなが集まるのに俺たちだけ離れて仕事するのも寂しいしね。」
社割もあるから、気軽に来てねって。
表情からは分かりにくいけれど、柔らかい声音からお二人も一緒の場所で働けることを楽しみにしているのが伺える。
「それにここまで俺たち同級生組で固めた会社作れば、社内の動きとかもチェックしやすいし。」
「そーいうこと。
俺と阿部ちゃんと佐久間は仮にも夜の街にいたから、昼の世界に出て来ても追いかけてくる女の子も多分出てきちゃうんだよね。その辺セキュリティー管理厳しくしたり、採用試験も社長自ら全部履歴書チェックするつもり。」
もちろん人事部も作りはするけどって。
細部まできちんと考えられていると感じるし、深澤さんが真剣な顔で会社のことについてお話する様子は既に社長の風貌が見え隠れしている。
「皆さんの熱意も、社長さんの思いもきちんとわかりました。上村A、人事異動については喜んでお受け致します。まだ社会人としては2年目なので、慣れないこともたくさんあるかと思いますが、精一杯頑張らせて頂きます。秘書検定も取得に向けて頑張りますので、改めてよろしくお願い致します。」
正座をして、頭を下げる。
一瞬場が静まったけど、深澤さんが優しい声で「顔を上げて」と声を掛けてくださって。
「大丈夫だって！俺らが集まればなんでもできる！
って、阿部ちゃんなんて言うんだっけ？」
「3人寄れば文殊の知恵のこと？
…俺も佐久間もふっかもまともな社会人は一年生だから、むしろ後輩だと思って厳しく指導しちゃってください。これからも、ふっかのこと、会社のことよろしくね。」
とびきり明るい笑顔の佐久間さんとその横で優しい笑顔の阿部さん。
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作者名：しぅ
| 作成日時：2021年4月30日 7時
