お隣さん.17 ページ17
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お昼休みが終わる前に彼は帰っていったけど、本当に何の用だったんだろう。久しぶりに入ったって言ってたけど…。岩本さんに聞いてみたけれど、昔はよくあったんだよって答えしか返ってこなかった。
「明日は午前中から出かけるつもりだから、寝てたら起こしてー。」
「自分で起きてくださいよ…。」
帰ってからもなんとなく過去のことを聞くことは躊躇われて、会社での出来事はなるべく蒸し返さないように心掛けた。
「あと、そこに借りてきた服あるから明日持ってくの選んどいてね。」
「そんな本格的な…。」
「それくらいしないと離れてくんないだろうからさ。
…俺だって本当はこんなことさせたくないんだけど。」
これきりだから、って眉を下げた彼をこれ以上責めることが出来なくて。自分からは着ることのないような派手な服たちに視線を移す。
「……これにします。」
「そう言うと思った。」
一番控えめな紫のワンピース。フリルやスパンコールは避けたかったので、選んだのに。それを見越して笑う深澤さんにちょっと負けた気分…。
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作者名:しぅ | 作成日時:2021年4月30日 7時