お隣さん.11 ページ11
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「なんか調子いいね、上村さん。」
岩本さんにもそんな指摘をされてしまって少し恥ずかしくなったその日。恋人が出来たと堂々言える関係でもないだろうと、彼との関係については伏せて、「まぁ…いいことがありました。」とだけ言っておいた。
食材を買って帰って。
何も入っていない冷蔵庫に必要最低限詰めておく。
このままじゃ彼は薬云々関係なくても体調を崩しそうな食生活をしているだろうから。作り置きの料理も作って…と1人慌ただしくして。自分の夜ご飯もささっと済ませ、掃除をする。
だいぶ綺麗になって満足していたら、急に開いたドア。
「……え?」
「あ……。」
知らない人。
お互い驚いているけれど、入ってきた男性に担がれてきたのは。
「深澤さん…?」
「……知り合い、なんだね。
事情は後でお互い話そうか。ちょっと待ってね。」
ほら、ふっか家着いた。と深澤さんをベッドに放ったその人。優しそうな顔立ちの割に、容赦が全くない…。
「ぐえ、、あべちゃん、冷たい…。」
「……深澤さん、とりあえずお水どうぞ。」
「んんー、飲ませてー。」
「…へっ!?」
ぎゅっと抱き着いてきた彼からはアルコールの匂い。だいぶ酔いが回っているらしく、突拍子もないことを言い出す。そんな彼を引き剥がして冷たく言い放った男性。
「あんまり変なことしてると水ぶっかけるよ。」
「ごめんなさい。」
「よろしい。
そこ正座して説明して。」
しゅんと縮こまった彼を見て、少し笑ってしまう。
やっぱりどこか、子供のようなあどけなさの残る人だ。
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作者名:しぅ | 作成日時:2021年4月30日 7時