海 × 田中樹 ページ8
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「あっつー…。」
「それが夏の醍醐味じゃん。部屋に籠ってないで、遊ぼうよ〜。」
「無理。暑い。」
せっかく忙しい中で休みが被ったのに、家から1歩も出る気のない樹。だらだらと家で2人ゲームする時間だって、樹といれるなら嬉しいんだけど…。せっかくなら夏の思い出になるようなことをしたい。
「そうだ、海行こうよ、海。海なら樹も嫌いじゃないでしょ？」
「んー、まあね？」
デビュー前はよく行ってたし…って話は樹からも聞いたことあるし、目黒くんもテレビとかで言ってくれる。ただ風磨くんと樹と一緒に海って、目黒くんと原くん怖くなかったのかなって思わないこともない。
「そーねー、海ねえ………。」
「え、なに…？」
じっと私を見ている樹。その唇は段々弧を描き始める。…これは、何かいけない予感。
「…よっし。買い物行くか。」
「う、うん……。」
頷いた私を見て、にやりと笑った樹にどこへ連れて行かれるのやらと思えば。
「んー………。」
「じゅ、じゅり…？」
「うん？」
「これは流石にちょっと…。」
「だいじょぶ。後で似合うパーカーも探すから。」
パーカーがあるからいいとか、そういう問題じゃない。本気で海に行く気になったらしい樹は私の水着選びを始めて。かれこれ30分くらい悩んでいたけど…。
「よし、やっぱこれだな。」
「ねえ！無理だってば！」
「なんで、いいじゃん。似合ってんだし。」
黒のレースビキニ。樹から似合ってるって言ってもらえるのは嬉しいけど、大人っぽすぎて恥ずかしさは増すばかり。パーカーも選ぶとか言ってたけど、かなり薄手のものを選ばれたし。
「今度の休み、上は水着にパーカーな。下はズボン履いててもいいけど。」
私を家まで送り届けて上機嫌でそういう樹に抗議する気力は残っていなかった。
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作者名：しぅ
| 作成日時：2022年9月2日 15時
