. ページ5
.
「オシャレなお店でしたね。」
「うん。この間照と来た時、絶対またAちゃんと来るって決めてたの。」
他の人と出かけた時にも私のことを考えてくれていたと聞いて、嬉しくないわけがない。今度、私も深澤さんと行きたいなと思うところを作ることにしよう。
「深澤さん、どこか行きたいところとかありますか？」
「俺は特に。Aちゃんがいてくれたらどこでもいいよ。」
あ、その目。
保育園児のような表情をしまって作る、大人びた優しい表情。その顔に毎回キュンとしてしまう自分がいる。
「スカイツリーでも行ってみます？」
「いいねえ、恋人らしいことしよっか。」
再度取られた手は、指先まで絡められて。気恥ずかしくて目を逸らした私に、「こんなんでドキドキしてたらもたないよ？」と彼は妖艶に笑った。
「…初めて来ました。」
「まじで？学校行事で来たりとかするもんじゃないの？」
「私が学生だった時にはまだ開業したばかりで人が多すぎて…。なんかの行事の時に行く予定だったらしいんですけど、人数分チケットは取れないだかで東京タワーになりました。」
「なーるほどねえ…。いやあ、ジェネレーションギャップだわ。」
お日柄もよく、遠くの富士山もよく見える。これは、いい日に来た。しかもそとは明るく見えるけれどここは室内の展望台だから、日焼け以外は夏の敵が存在しないのも素晴らしい。
「そういう深澤さんは、来たことあるんですか？」
「照たちと6人で1回登ってみようぜって言って、来たことある。ちょうどAちゃんの歳くらいの時じゃないかな。」
「…そのセリフはおじさん臭いです。」
「ひでえ。」
でも、その時の何倍も楽しいよって優しく笑う深澤さんに、顔が赤くなるのを意識せざるを得なかった。
「あれ？照れちゃった？」
「うるさいですね！次、行きますよ！」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しぅ
| 作成日時：2022年9月2日 15時
