向日葵 × 中村嶺亜 ページ29
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夏。ライブが大好きな彼らが盛り上がる時期。そうなると必然的に私も彼も忙しくなるもので。
「Aさん、ここ、こっちの方が音いいっすかね…。」
「そうだねえ…。弾いてみたけど、音沈んじゃいそうだから…。」
「りょーかいです。こんぴ、ちょっと修正。」
「ん。」
本番前、いよいよリハも大詰め。最終調整を事務所じゃなくてうちのステージでやってていいのかなあ…と思うのだけど。彼らがそれでいいならよしとしよう。私もお手伝いできる範囲で楽譜の修正やアレンジ、機材の調整などで動きまわる。すると、後ろから捕まった。
「うー。」
「どうしたの、れあくん。」
「Aちゃん不足。」
「私、最近いつも一緒にいる気がするけど…。」
「違うの〜！」
むーっと膨れるれあくんは本当にお顔が綺麗だから、女の子と見間違えちゃいそう。頬を膨らませたまま「だって最近いちゃいちゃ出来てないもん」とくっついてくるのを、メンバーさんがしっかりみていて。
「わ、分かったから、れあくん。恥ずかしいよう…。」
「見せつけてるんだからいいの〜。」
「嶺亜、家でやれ、家で。」
「えー、大光羨ましいの〜？」
にやにやと佐々木くんを弄るれあくん。いたずらっ子のような笑みで、これはしばらく佐々木くんが弄られ続けるなあと他人事として考える。
「Aさん、度々すみません…。」
「いちいち謝らないでよ、黎くん。次はどうしたの？」
「ここ、ちょっと弾いてもらっていいすか…。」
黎くんに渡された楽譜の指定された箇所をキーボードで弾いてみる。キーボードなら、本�發�んに引いてもらえばいいのに、なんて考えていたんだけど。
「あー、ありがとうございます。だかさん、ここもう少し軽めに弾いてもらっていいすか。」
「了解。」
どうやら本�發�んの弾き方の違和感を探っていたみたい。メンバー全員の楽器のカバーが出来ちゃうなんて、やっぱり黎くんはすごいなあ…。
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作者名：しぅ
| 作成日時：2022年9月2日 15時
