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花火が全て終わった頃。帰りが遅くなっても…ということで、名残惜しいけど私たちはお祭りの会場を後にした。
「来年も来たいなあ…。この集落のお祭りの日調べて、休演日にしてもらうか…。」
「それは難しいんじゃない？」
「だよねえ…。でも、Aと夏を満喫出来た感じがしてめっちゃよかった…。」
そうやって言われると、照れるんだけど…。返しには困ったけど、小さく「私も、楽しかった」と言っておいた。
「子どもを諭してる龍斗が大人すぎて、自分の子供にもそんな感じなのかなあって思っちゃった。」
「え？子供欲しいの？Aったら大胆〜。」
「ば、ばか…！！」
そういう意味で言ったわけじゃないのに…！
「でも、まだ子供は嫌かな。」
「まだとかあるの？」
「もう少し、落ち着いてからがいい。今子供いたら、俺より子供と一緒の時間の方が長くなっちゃうじゃん。」
それは嫌、と言い切った龍斗。淡白そうに見えて、案外嫉妬深いところがあるのかなあと今日の子供たちとのやり取りを見ても思う。
「…ただ、将来アイドルじゃなくなったときに、こんなところに住みたいなっていうのは思った。こう、人が温かいところがいいなって。」
「それは私も思った…！！」
将来像なんかも描きながら車で帰る、人生初の夏祭りデート。以後、夏になると龍斗が無理矢理休みを取ってこの集落の夏祭りに行くようになったとか、ならないとか。活動が忙しくなるにつれて、集落の人にもジャニーズだとバレたとか、バレないとか。ただ、それで外部に「彼女を連れて遊びに来てます」なんてことを一切漏らさないでいてくれる辺り、本当に優しい人たちとのご縁が出来た夏。
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作者名：しぅ
| 作成日時：2022年9月2日 15時
