夏祭り × 作間龍斗 ページ22
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通常大学生は夏休みの8月。
けど、私の彼氏はそんなことを言っていられないのがこの時期。夏は毎年ライブに忙しいのだ。
「はあ…。」
街行くカップルを見て、溜息を吐いた。私だって、あんな風にキラキラした夏を過ごしたい。でも、龍斗の邪魔はしたくないし…。ああ、寂しいなあ。
買い物を終えて帰路についていると、後ろからひょいと買い物袋を奪われた。ぎょっとして振り向いたら、見上げるほど背の高い彼。
「りゅ、うと…？」
「うん。これ、Aの家まで運べばいい？」
「い、いいよ！疲れてるだろうし、私持つ！」
「これ持つくらいどうってことないよ。行こ。」
片手に私の荷物、片手に私の手を繋いだ龍斗がすたすたと歩き始める。つられるようにして、私も歩き始めたんだけど。
「仕事終わり？」
「うん。歩いてたら、A見かけたから。」
「後ろ姿で分かるもの？」
「流石に後ろ姿だけだと確信出来ないから、こんなことしない。知らない人だったら困るし。向こうの道歩いてたら、反対方向へ向かうA見つけたから、追いかけてきた。」
道路を挟んだ反対の歩道にいたらしい龍斗。そりゃまあ、そうか。私と龍斗の家って反対方向だもんな…って考えてからハッとする。
「荷物、やっぱいいって…！龍斗、家遠くなるじゃん！」
「A見つけた時点で、今日はAの家泊ろうと思ってたんだけど…だめかな。」
「だめなわけない！！」
なんか予定あった？と私のことを優先してくれようとしてくれる龍斗は本当に出来た彼氏だと思うけど、今の私に龍斗といられる時間以上に大切な予定なんてない。
「てか向こうの歩道で見かけたから着いてきました〜とか、ストーカーみたいじゃない？」
「ええ…。荷物重そうだったから、心配してきただけなのに…。」
「うそうそ。ありがと。」
そんななんでもない話をしながら歩けるのが、幸せだ。それこそ、さっき憧れたカップルたちのような時間が。
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作者名：しぅ
| 作成日時：2022年9月2日 15時
