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結局全員宛てにさん付けもタメも禁止された。そこから改めて全員の自己紹介を受けて、呼び方を考える事に。
「ふっか、ひか兄…。」
ひとりずつを確かめるように呼んでいく。で、最後に隅っこにいたそいつ。
「渡辺。」
「ぶはっっっ。」
先日のパーティでのやり取りを知らない人たちは、何故一人だけ名字の呼び捨て…と固まっている。唯一事情を知ってるふっかは吹き出していた。私もやり取りを詳しく覚えているわけではないけれど、こいつとは死ぬほど気が合わないってことだけは鮮明に覚えている。
「せめてあだ名って妥協案はない?
翔太、拗ねちゃう。」
「拗ねねーから!」
余計なこと言うなってだてさまに威嚇する。仲、いいんだな。
「ゆり組…。」
「あべちゃ、戻ってきてー。」
おーいと佐久間くんが阿部ちゃんの周りをくるくる。自分の目が回ったようですっ転んでた。
「ゆり組…とは。」
「あー。舘さんと翔太は幼馴染なんだよ。産まれた病院から一緒の。その2人の呼び方。まあ、俺らアイドルだから。コンビ名みたいなのがあったりなかったりするんだよね。」
その「アイドルだから」って言い方がうざいと説明してくれたふっかに申す勇気は当時の私にはなかった。今なら全然言えるけど。
「あだ名…しょぴでいいか。」
「でいいかってまた雑な…。Aちゃん、そういうタイプの子なのね。なんか思ってた感じと違ったわー。」
「ちょっとふっか、口説かないでよね!」
俺の友達なんだからーとふっかに威嚇する佐久間くん。え、怒り方、基本威嚇なの?この子たち動物なの?彼らの普通が分からなさすぎてその場でやり取りを見守るくらいしか出来ない。
「というか、私にどんな印象が…。」
「なんかもっと清楚でおしとやかな…。」
「すみませんね、清楚でもおしとやかでもなくて。」
決めた。ふっかと渡辺には一切の容赦もしない。こいつらには情けをかけるだけ無駄だ。
容赦をしなくてもいいなんて思えるくらい、この日の食事会で彼らとは打ち解けてしまった。彼らからも「付き合いやすい」と評され、定期的に食事会に呼ばれるようになっていった。
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作者名:しぅ | 作成日時:2022年5月11日 16時