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「は…？？」
驚いて固まる私より先に声を発したのは翔太だった。怒った時か機嫌の悪い時にしか聞かない、低い声で絞り出したように一言。涼太を見るその目は鋭くて、何か涼太に対して怒っているような。
「…お前、自分が何言ってるのか分かってんの？」
「え、だから、Aが…。」
「もういい。それ以上言うな。」
聞かれたから先程と同じことを繰り返そうとした涼太を、聞いた本人の翔太が遮ったので涼太は怪訝そうな顔をしている。…多分気を遣ってくれたんだな。
「大丈夫だよ、翔太。」
「…お前が大丈夫か大丈夫じゃないかくらいお前より分かんだよ、こっちは。」
何年見て来たと思ってんだよって小さく吐き捨てて、もう一度涼太に向き直る。
「俺のことは分かるんだよな？」
「もちろん。渡辺翔太。俺の幼馴染。産まれた病院も一緒で、ジャニーズ事務所のSnowManとして一緒にデビューしたし一緒に活動してるよ。」
「じゃあ、Aのことは？」
「翔太と同じく幼馴染。Aとは小中学校も同じだったから、大学まではずっと一緒だったね。」
「お前、昨日何してた？」
「昨日？昨日は、雑誌の撮影した後に翔太とラジオの収録して帰ったよ。」
「昨日帰った後は何してたんだよ。」
スラスラと答えていたのに、翔太に昨日の帰宅後のことを聞かれて黙り込んでしまった。腕を組んでじっと何かを考えている。
「…涼太、昨日は帰ってきてからご飯食べてお風呂入って、ずっとカタログ読んだり雑誌読んでたよ。「どうしようか」って私に聞きながら楽しそうにずっと読んでたよ。」
昨日もドレスのカタログを眺めながら私より楽しそうにあれも似合いそう、これも似合いそう、とにこにこしていた。そうやって言っても「ああそうだった」とならないのか、首を傾げていて。私について答えた時も一回も「彼女」という言葉は出てこなかった。
「しょーたー！！りょーた生きてる？」
「……死んでたらこんな悠長にしてねえよ。」
「翔太の顔、どう見ても悠長って顔じゃねえけどな。」
どした、って居心地の悪くなっていた病室の雰囲気を和らげるように声を掛けてくれた深澤さん。すっ飛んできて翔太にも涼太にも構いまくって笑いを広げてる佐久間さん。お仕事終わりに涼太を心配して駆けつけてくださったらしい。
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作者名：しぅ
| 作成日時：2022年1月21日 11時
