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「ただいま。支度出来てるか？行くぞ。」
「う…ん。出来てる。」
Aにせっかくなら浴衣を着ておけとは言っておいたけど、自分が浴衣を着る話は一切していないし、浴衣自体涼太の家に置いとかせてもらっていた。
「しょーにぃも今日は浴衣なんだね。」
「お前が撮影でもらったって言っててそれいいなって。」
和服の仕立て屋なんて自分で入っても分からないだろうし。だったら、撮影で仕立ててもらったもの買う方が早いかなって。
着いたのはちょっと値の張るレストラン。
「え、こんなとこ…。うち、食べれるものないよ。」
「うるせえ、偏食家。」
「しょーにぃに言われたくない…。」
THE庶民って生活をしてきたAの好みは家庭料理。だから、レストランを探すのも苦労した。涼太と何件も実際に行ってみて、食べてみて…。最終的には自分が好きなものを選べるビュッフェ形式を取っているこの店にしたんだけど。
丁度、夏祭りフェアということで、店内は夏祭りを意識した和風な空間に。実際の金魚が展示されていたり、風鈴がいい音を立てていたりと涼やかな空間だ。
「着物、正解だったね。」
「な。…飯、上手いか？」
「うん。こんな高級なところ来ても食べれるものないんじゃないかってヒヤヒヤしてたけど…。庶民的な料理も多いし、ビュッフェだと知らないものでも少しだけ食べてみれるからいいね。」
ご満悦な顔をしている。
一から計画したことを喜んでもらえるって、こんなに嬉しいんだな。
それから、最近ゆっくり話せていなかったから、お互いの近況とかそんなことを話して。時計で時間を確認すればそろそろ頃合い。ふぅ、と少し息を吐き出して、口を開いた。
「あのさ、今日、お前に伝えたいことがあって、呼んだの。」
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作者名：しぅ
| 作成日時：2021年7月30日 21時
