38輪 ページ38
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side.you
みんな自由に席を移動してお酒を進める。
もちろん、私とラウールくんはジュースやお茶を飲みながら談笑していた。
ab「Aちゃん、隣いいかな。」
「あ、うん。どうぞ。」
あざとく首を傾げて聞いてくる彼はきっと天性のアイドルなんだろうな。特に断る理由もなく頷けば、微笑んで「ありがとう」と言いながら隣に座った。
ab「…言いたい事、ちゃんと言えてる？
辛いこと、吐き出せた？」
恐らく、先日のラジオ収録の日のことを気にしているからであろう言葉。それに関してだとしたら。
「大丈夫。
…ラジオ収録の日、陰口を叩かれて少しへこんだんだけど、次の日にたまたま現場が一緒だった岩本くんがその人たちに怒ってくれた。今日、目黒くんに言われた内容について相談したら、気にすることないよって言ってもらえた。私はそれで充分振り切れたから。」
陰口を叩かれたところで、翔太と涼太の隣にいる以上仕方ないかで諦めて来た。特に2人に相談したこともない。それをあんな風に怒ってくれたことも、長年言われ続けてきた悩みを一緒に解決していこうと言ってくれたことも、私にとっては新鮮で、とても価値のあること。
ab「…そっか。
俺たち、ちょっとは役に立てそうかな。」
「ちょっとなんて言わないでよ。
こうして私のことを気にかけて声を掛けてくれるだけでも、私には十分大きな存在だよ。」
これまで、そんなことをしてくれたのは翔太か涼太しかいなかったから。2人以外にもこんなに心強い仲間が出来た。
「阿部くんはいつも私のことまで気にかけてくれる優しい人。まだまだ慣れないことだらけだし、時にはその優しさに甘えちゃうかもだけど、ダメなときはちゃんと叱ってね。」
ab「ふふっ。わかった。
Aちゃんはきっと全部抱え込んじゃう性格だから、甘えることもしてね。全然大丈夫だから。」
「…はい。」
なんだか阿部くんに頼むと全てやってくれちゃいそうだから。そうじゃなくて、時には上手く甘えながら私も阿部くんから頼られるような存在になりたいな。
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作者名：しぅ
| 作成日時：2021年7月11日 21時
