32輪 ページ32
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side.you
岩本くんの撮影のみで今日は上がり。
新井さんに言われたことをただしていただけだけど、現場の方からは「出来る子だねえ」と口々に言われ、だいぶと可愛がって頂いた。
「やっぱりAちゃんは頼りになるね。
俺の後も安泰だ。」
「やめてくださいよ。
まだ一人で現場についていくことも出来ない新米に…。」
「…それ、Aちゃんの悪い癖。
なんでも完璧にこなす必要はないよ。
俺だって、何度もメンバーに助けられてきた。その分、相談に乗ったり、スケジュール調整の時に多少の我儘なら聞いたり…。助けあってここまで来たから。」
最初からなんて尚更出来なくて当たり前なんだよって笑いながら、頭を撫でられた。…昨日から深澤くん、佐久間くん、阿部くんと皆さんから頭を撫でられているけれど、私の頭はそんなに撫でやすいだろうか。
「俺も先輩として助言出来る事はあるだろうからさ。
何かあったら連絡してよ。
気軽にお茶誘うだけでも大歓迎！」
そう言って、強引に連絡先を追加された。
仕事先の先輩だし、これから何かと緊急の連絡を取らなくてはいけないだろうし…と納得しておくけど、仕事用の端末を既にもらっていて、そちらに新井さんの仕事用の連絡先は登録してある。私のプライベートの端末に登録されているのは翔太と涼太の連絡先だけ。
「うわ、翔太と涼太の連絡先だけなんだ。」
「以前の会社でも仕事用の端末があったので。プライベートは2人以外会うこともありませんし…。」
「じゃあ、なおのこと。
今度一緒に飲みにでも行こうよ。
悩みも聞くからさ。」
なんだかこれもそのうち強制されそう。
先輩だし、断りづらい…。
悩みを聞いていただくにはいい機会かとこれも無理矢理納得して、都合のいい日に予定を入れた。
iw「…なにしてんの。」
「おー、照。
先輩として言えることないかなって話してたの。」
iw「…ふーん。」
自分から聞いた割に、興味のなさそうな返事。
それになんとなくだけど、声が怒ってる気がする…。
「岩本くん、これで直帰なので帰りましょう。」
iw「はい。じゃあ、新井さん、また明日。」
「おー、気を付けて帰れよ。」
車に乗り込むと何事もなかったかのようにスイーツの話をしてくださった。不機嫌に見えたのは、私の勘違いだったのかもしれない。
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作者名：しぅ
| 作成日時：2021年7月11日 21時
