24輪 ページ24
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side.fk
泣きそうな彼女は、最後まで涙を見せる事はなかった。
意地を張っているわけではなく、まだ俺らの前で涙を見せられるほどは、俺らが信頼されていないんだろうな。
ab「…で、何があったの？」
fk「聞かないんじゃなかったんだ。」
ab「本人には、聞かないけど。」
彼女に関しては俺らよりゆり組の方が分かっているから、2人に任せようということで。収録を終えたあと、舘さんの家まで送り届けて、俺らは照の家の前に降ろしてもらった。適当に買ってきた酒とつまみを出して、乾杯をしたあと、阿部ちゃんが切り出す。
iw「なにさらっと人の家に上がり込んでんだよ…。」
fk「照の家が近かったのと、一応リーダーにも事情を知っておいてほしくて。」
彼女には「他の人には言わない」って言ったけど…。
詳しい内容は言わないから、傷つけられたって事実だけはメンバー内で共有させて。
ab「覚悟はしてたけど…。こんな初日から…。」
iw「…僻みを向けた奴に制裁をって言うのは、現状難しいからな。」
阿部ちゃんは息を飲んでる。照は難しい顔。
fk「わかってるよ。
ただ、現状既にこういうことが起きてる。
彼女はそれで泣いていた。
制裁を与えられないからこそ、彼女の気持ちを俺らが受け止めてあげないと。彼女に対する僻みが消える事はないからこそ、俺らが彼女の居場所になってあげないと。」
俺らだってこれまで散々色んなこと言われてきた。それはもう好き勝手。でも、このメンバーでいられたから、乗り越えてこれた。今は、もうそんな声を気にしないくらいになっている。彼女にもそんな風になってもらえたらいいなって。
iw「……お前さ。」
fk「ん、なに、照。」
iw「…なんでもない。」
照が言いかけた言葉は、分かってる。でもまだそれを阿部ちゃんには知られたくないから、遮った。それだけで「言いたくないんだ」って伝わっちゃうのが俺らだから。
俺は自分が思ってた以上に彼女に惹かれちゃってたみたい。
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作者名：しぅ
| 作成日時：2021年7月11日 21時
