243 緋色編 ページ12
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「…零お兄さん?」
降「…」
ポアロにAを迎えに来た降谷
車に乗り“ただいま”と言ったAに
小さく“おかえり”と言ったきり
何も言わずただ睨みつけるように前を見ている
途中Aが降谷の名前を呼ぶが
ずっと無言だった
数時間前
降谷は工藤邸を訪ねた
沖矢昴という大学院生に扮したであろう赤井秀一を捕らえるつもりでいた
しかし
予想に反して沖矢昴と赤井秀一は別人だった
けれど確かに赤井秀一は生きていて
それと同時に
バレてしまっていた
自分が公安警察からの潜入捜査官だという事実
降「…A」
「?」
家に入り
降谷がAを呼んだ
“彼の事は
今でも悪かったと思っている…”
その言葉に
酷い殺意が湧いた
そして
降「…知っていたのか?
“赤井秀一”という男を…」
「!」
“Aというお嬢さんに
よろしく伝えておいてくれ”
あの男がAの名前を口にした
あの男がAを知っているという事実
相手がどういうつもりでAの名を口にしたかはわからない
それでも
“それがお前の弱点だろう”と
そう言われたように思えて
全身が凍りついた
「前に会った事があるよ
どうして知ってるんだい?」
降「…っ」
そう言うAに
降谷はギリリと奥歯を噛み締めると
「…っ!」
Aの両肩を強く掴んだ
驚いた表情でAは降谷を見る
降「っもう二度とあいつに関わるな!!!」
叫びに近い声だった
ギリギリと強くAの肩を掴む降谷
降「あいつだけは…っ!
あいつにだけは…!!」
その目は
酷い憎悪で満ちていて
「…」
それがAには
酷く悲しいものに見えた
降「…!?」
降谷の頬を両手で包み込むA
それにハッと我にかえる降谷
憎悪の色が薄まり
Aの細い肩を強過ぎる程の力で掴んでしまっていた事に気づいた
降「…っ」
しかしそれにAは一切顔を歪める事無く
真っ直ぐに降谷を見ている
見透かすような瞳
いや…恐らく本当に見透かされている
思わず降谷はAから逃げるように手を離し顔を背けた
降「…!」
そっと降谷の背に手を回してきたA
何も言わないのは
今降谷がどのような感情にかられてしまっているのか
わかっているから
降「っ…」
行き場の無い感情に降谷は
ただただ
縋るように強く
Aを抱き締めた
「…」
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みひろん(プロフ) - 拝見させて頂きました☆とても良い内容で楽しくて楽しくて♪更新が気になりす (2021年5月3日 22時) (レス) id: 3625b37890 (このIDを非表示/違反報告)
さの - 続き楽しみにしてます!ストーリーも設定も何もかもが好きです。頑張ってください (2021年4月24日 11時) (レス) id: f21a562c74 (このIDを非表示/違反報告)
りゅうび - コレ見てるのが唯一の癒しです…!!!ほんと好き…作者様愛してる… (2021年4月22日 11時) (レス) id: 1863eb5089 (このIDを非表示/違反報告)
いよ - 続きが気になります!とっても面白くて読みやすいので!これからも頑張ってください! (2021年4月18日 12時) (レス) id: 4f68d69473 (このIDを非表示/違反報告)
ポラン - この作品凄く好きなのでよく拝見させていただいております!!劇場版バージョンとかも見てみたいです!!これからも頑張ってください!!! (2021年2月17日 23時) (レス) id: 60ead42250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サクヤ | 作成日時:2020年1月1日 13時