3 ページ38
「人生でいっちばん怒られたの。
それで、今まで書きなぐってたレシピを綺麗に書き直してちゃんと頭にいれなきゃと思って」
「なんで外でやるのそんな大事なこと」
「だっていい天気だったし…気分転換的な？」
「いや曇ってたよ」
ちょいちょい正論ぶつけてくるのこの子。うるさい。
「でも川に落ちちゃった瞬間、あ、仕事辞めようかなって思ったの」
「拾いに行ってたのに？」
「一瞬ね。そう思ったの。
だからあなたがいとも簡単に取ってきてくれて、なんか救われたっていうか、うん。
ありがとう」
「…どういたしまして。
こっちもありがとう」
「なにが？」
「さっき。話合わせてくれて」
話合わせたっていうか黙ってただけだけど。
それでもお礼言われるのは悪い気分ではないよね。
「別に嫌いじゃない」
「え？なに？」
「チョコレート」
「へー…そうなんだ？」
「興味ないのかよ。さっき聞かれたから答えたのに」
噛み合わない会話を彼も楽しんでるように見える。
「どうして食べないの？チョコレート」
受け取っても食べない、ときっぱり断っていたから甘いものが嫌いなのかと思ったらそうじゃないみたいだし。
「めんどくさいから」
「…食べるのが？」
「ばかなの？」
違うと思ったけど。
くそう、初対面なのに遠慮ないな。
「きりがないっていうか、
毎日食べてたら飽きるし
知らない子でもホワイトデーはなんか買わなきゃいけないし返事しないといけないから1か月ずっと憂鬱だし」
「毎日食べるほどもらうの？
うちのお父さんも会社でもらってくるけど3日でなくなるよ」
「…まあまあ」
お兄さんが大きな会社に勤めててさらにもらってくるらしく家族みんなで食べてもなかなか減らないらしい。
どんな兄弟だ。
「兄貴真面目で全部なくなるまで毎日食べ続けるからなんかちょっと可哀想になるよ」
「いいなあ。私が欲しい。
勉強のために他のお店のお菓子買うんだけどお金すぐなくなっちゃうんだもん」
「喜ぶと思う」
にこりともしないでそう言うから私までお兄さんに同情してしまった。
「でもすごいね。仕事してて、休みの日も勉強して。俺なんて何したいとか全然ない」
彼は就活で悩んでるらしい。同い年なら大学3年か。大変なんだね。
「好きなことだからできるだけ。私から見ればそっちの方がすごいよ。勉強できないから大学とか無理」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 364人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆき(プロフ) - まどさん» まどさん！お返事が遅くなりました（ ; ; ）神回だなんて！そんな風に言っていただけて嬉しい限りです(/ _ ; )何を隠そうギョンスペンなので…ありがとうございます！！ (2018年3月7日 0時) (
レス) id: b13cdc72c6 (このIDを非表示/違反報告)
まど - ギョンス回は神回です！！！！めっちゃきゅんとしました、、、、 (2018年2月19日 17時) (レス) id: 348d09fd4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - あまいくりーむさん！こちらこそありがとうございます！本当のバレンタインは過ぎ去ってしまいましたが妄想バレンタインにもう少しお付き合いください^ ^ (2018年2月18日 0時) (レス) id: b13cdc72c6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - トキメキバレンタイン最高です！たくさんのキュンありがとうございました！ (2018年2月17日 20時) (レス) id: 54cb611542 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆき | 作成日時：2018年2月13日 2時
