91.悩んで大人になる ページ6
-YG side-
何故かは自分でも分からない。
ちょっとした苛立ちにも似たような感覚が胸を占めていた。
雨が降っているからでも、早起きしたからでも、ヒョンに“目開いてんの?”とイジられたからでもない。
ヒョンに話し掛けられても、普通に答えられなくて嫌な言い方をしてしまった…
意味もなくイライラするなんて、今まであったか…?
いや…
本当はその理由は明白だ。
昨日ジミナが言っていた、重大な事が気になっているからだ。
そう言う話は大抵良くない事だから、今は聞きたくないと思った。
先伸ばしにした分、もしかしたら聞いた時のダメージは倍になるかも知れない…
日本に居られるのもあと4日だ。
ん…?
日本に居られる時間…
あ……
もう一つ思い出した…
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………………………………
-JN side-
《ヒョン…
ちょっと良いですか…?》
ユンギが神妙な面持ちでやって来た。
《何?機嫌悪かったんじゃないの〜?》
《……いえ…あの…さっきは生意気な態度を取ってすみませんでした…》
《何だよ…急に…》
《俺…大事な事を忘れてたんですよ…》
《ん?何を?》
《電話するのを…です…》
《…誰に?》
《秀人さん…に…》
《………》
《本当、すみませんでした…》
《ふ〜ん…》
《………》
《あのさ…
それは本当、大事な事なんだけど。
今日、僕に冷たくした理由を先に教えてくれる?》
《……》
《何?言えないの?》
《いえ、特に理由はないです…》
《理由がないのにあんな感じだったの?!
やぁ〜、信じられないよ…
さすがの僕でも怒っちゃうなぁ〜》
(とか言ってみたりして(笑)
本気で怒ったりはしないし、素っ気ないユンギにも慣れてるから全然気にしてないんだけど…
いや、ちょっとは気にしたけど…
本当はかなり…)
《ヒョン……?》
《あぁ、うん?》
《本当にすみませんでした。
なのでちょっと、電話してきます。》
《ちょっとユンギ!
さすがに、時間的に早くない?》
《あー…》
《今日仕事だったら、今頃その準備で忙しいだろうし…お昼休憩の頃に掛けてみたら?》
《そうですね…》
この前、ジミナが遭遇した韓国語を話せる謎の男の人について、秀人さんに電話して聞いてみると言っていたユンギ。
(忘れてた事に責任を感じてるんだろうな…)
ユンギに任せっきりだった事を反省しなくちゃ。
でも、頼りになるから頼っちゃうんだよねぇ…
そう思いながらふと窓の外を見ると、雨は止んでいた。
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作者名:Miyoshi | 作成日時:2021年7月11日 2時