忘れたくない4【YG・JM】 (ページ25)

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「誰？この人。」

『えっと…』

「笹原君の友人です。」

「は？笹原って…
一体何なん？！」

「少しお訊ねしたい事があって…」

「無理無理。帰って。
てか、何で家知っとるん？
警察呼ぶで。」

『…………』

「いや～、警察は呼ばれたら困りますね(苦笑)
今日のところは帰ります。」

「今日のところは…やなくて、ずっと来んといてな！」

美貴さんがそう叫んで言い終わる頃には、階段を降りて姿は見えなくなっていた。

「何や…不気味な奴やな。
でも、どっかで見たことあるような…」

『美貴さんも思った？』

「う～ん…、何となくだけど。」

『小林先生に似てると思ったんだけど…』

「あぁ！確かに！」

『似てるだけで小林先生に関係あるかは分からないけど…』

「突然訪ねて来る非常識な感じからすると、あの小林先生とは関係無さそうやけど…(苦笑)」

『だよね…(苦笑)
でも、家を知ってるって言うのが…
何か嫌だな…』

「名前を聞いておくべきだったなぁ…
自分の名前は名乗らんかったよな？」

『うん。
佳織のお兄さんの友達だってしか言ってなかった。』

「おかしいよな？
普通は自分の名前を名乗るもんやと思うけど…」

『私、通院する科が心療内科に変わったから、小林先生とは会う機会が無くなっちゃったし。
もし関係があるなら確認したいところだけど…』

「そうやね…
真田先生に聞いて貰ったらええんちゃう？」

『うん。そうしてみる。』

「また来るような事があって不安やったら、暫く家に来てもええよ？」

『うん…
考えておくね。』

「ところでお嬢さん、準備は出来とる？
道が混み始めとるから出来てたらすぐ行こう！」

こうして美貴さんの車に乗り、今日あった出来事を話ながら向かう。

『…でね、表情が戻ってるって美穂に言われて。
私、嬉しくて泣いちゃったんだ…』

「ほんまに良かったなぁ…
うちまで泣けてきた…」

『でも、全然実感が湧かなくて(苦笑)』

「大丈夫や！
今もちゃんと笑っとる♪
皆も喜ぶと思うなぁ。」

『そうだと良いけど…』

「そうに決まっとるやん！」

『決まってるんだ(笑)』

笑っている私をチラリと横目で見て、美貴さんも笑う。

さっきの男の人の事などすっかり忘れていたけど、私の記憶が無くなる術を佳織に教えた張本人で、忘れてはいけない人物だった…

本当の意味での黒幕の存在を私は見逃してしまったのだ…

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