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小さな声でよく聞こえなかった。
《え?》
「“いや…もう少しで着くから。”」
程無くして秀人さんの家に着いた。
「どうぞ。」
促されて足を踏み入れる。
「お帰りなさい。」
「あぁ、ただいま。」
「こんばんは、いらっしゃいませ。」
「こんばんは…お邪魔、します。」
「“ちょっと着替えてくるから、先にリビングに。”
志保、案内して。」
「うん。
どうぞ、こっちです。」
「はい。」
通されたリビングには、暖かみのある暖色系のカーテン、手入れされた観葉植物、二人が仲睦まじく写っている写真などがあった。
「そこのソファーに座ってね。」
「はい。」
身振りで理解し座る。
……………………………
「“お待たせ。
で、佳織の事ね。”」
《“はい…実は……”》
俺はこの前あった出来事と、昨日ジミナが公園であの人に会った時の事を説明した。
「“………聞いてて気持ちの良いもんじゃないな…。
君らにまでそんな関わり方をしてるのか、あいつは…。”」
《“それで、どうしたら良いのか…
対処の方法とか教えて貰いたくて…。”》
少し間があって、ばつが悪そうに
「“ごめん…。
対処出来る方法は、今のところ……
無い。
本当に申し訳ない………。”」
《………………。》
「“俺も、あの時から…
当時の問題があった時から、どうすれば良いのか考えてたんだ。
人間ってのはさ、自分の信じたいように信じるんだよ。
それが正しいか間違ってるかは二の次…。
自分の事じゃなきゃ、大体の奴は流れに乗るんだよ。”」
《…………。》
「“あいつはさ、やってる事は幼稚なのに何でか皆信じちゃうんだ…
Aは、変な事をやりそうも無いだろ?
だから皆が興味を持った…。
そうやって人の気持ちを操作するんだ…
俺……あの問題は最終的には終息したけど、ずっとトラウマなんだ…”」
何となく秀人さんの気持ちが分かる。
《“俺は…昔、精神的に弱くて…
今は完治したんですけど、俺みたいな風になって苦しんでる人達の力になれたら…って、カウンセラーの勉強してたんです。”》
「“あぁ…君の事、調べたから知ってる…
あんたも辛い時期があったんだよな。”」
《“はい……。
でも、今回の事は勉強してた事が全く当てはまらなくて…。
だから…今日何か突破口があればって思ったんです。”》
「“本当に悪いな…
情けない…”」
「あのぉ…ちょっと良い?」
「あ、あぁ。」
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姫星(プロフ) - 初めまして!お話読ませて頂きました。すごく面白くて大好きです!もしよろしければパスワードを教えて欲しいです。よろしくお願い致します。 (2021年10月9日 20時) (レス) @page13 id: b0f4fa90f5 (このIDを非表示/違反報告)
Miyoshi(プロフ) - libicalさん» 初めまして!コメントありがとうございます!パスワードはメッセージに送らせて頂きました。ご確認下さい☆ (2021年9月24日 11時) (レス) id: 8b7a46973a (このIDを非表示/違反報告)
libical(プロフ) - 初めまして。お話読ませて頂きました。すごく面白くて、お話に引き込まれてしまいました。もし、よろしければ続きを読ませていただきたいので、パスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。 (2021年9月24日 7時) (レス) @page5 id: 412d77e60a (このIDを非表示/違反報告)
Miyoshi(プロフ) - minhoさん» 初めまして!面白いと言って頂けてとても嬉しいです(#^.^#)メッセージをお送りしたので、ご確認下さいm(._.)m (2021年7月27日 1時) (レス) id: 8b7a46973a (このIDを非表示/違反報告)
minho(プロフ) - はじめまして、凄く面白くて一気に読ませて頂きました!よろしかったら4のパスワードを教えて頂けないでしょうか? (2021年7月26日 22時) (レス) id: fefe1bf8de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Miyoshi | 作成日時:2021年4月9日 2時