Clover【レッドアイズ監視捜査班】Ⅰ (ページ33)

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8年前、島原さんは、強盗致傷の容疑で
逃走中だった花倉を捕まえようとした。

歩道橋に差し掛かった所で、
花倉はある女性を突き飛ばした。

逃げるための咄嗟の行動だったんだろう。

その女性は蠣崎の恋人だった。

蠣崎の恋人は階段から落ちて亡くなった。
彼女の左手の薬指には、指輪が輝いていた。

＿＿

蠣崎【お前と花倉が彼女を殺した！】

山崎【その復讐の為に無関係な人間まで】

蠣崎【無関係な人間？】

山崎【最初に殺した女や！】

辰さんがそう言うと、蠣崎は話を続けた。

蠣崎【あれは花倉に思い知らせるためにやった】

最初に殺した女性は、花倉の恋人のようだ。

島原【どんな償いでもする。
…だからお願い。2人を解放して】

蠣崎は大切な恋人を殺されて、
その復讐をするためにここまで
生きていたんだろうか。

だとしたらこの犯行は止められない。

こいつは奈美と一緒だなんて思ったけど、
なんだ、これじゃまるで…。

蠣崎【想像しろ。お前はどんな未来を送っている？】

島原【…やめて】

未来か、そんなもの、とっくに捨ててたよ。

蠣崎【お前も想像しろ！】

矛先が島原さんの旦那さんへ向く。

島原【やめて蠣崎！】

蠣崎【愛しい妻と、どんな未来を描いてた？
その中に、妻に見捨てられる未来があったか？】

私も、蠣崎も、響介さんも、大切な恋人を失った。
その点では同じなんだ。
でも、私と蠣崎は
復讐することをゴールにしてしまった。
そしてそれを、実行してしまったんだ。

響介さんは、刑事として、悪を止める道を選んだ。

結局、蠣崎と私は一緒なんだ。

島原夫【俺を撃て！】

え…。

島原夫【その代わり…この子だけは助けてくれ】

島原さんの旦那さんは、
妹さんを守るつもりのようだ。
蠣崎は迷いなく引き金を引いて、
銃をを旦那さんへ向けた。

こんな最悪の場面で、
私はKSBCのモニタールームへ戻ってきた。

『要くん…』

小牧｢紅羽ちゃん…お帰り…｣

全員がモニターに釘付けになっている中、
要くんは私が無事なことに
少し安心した様子だった。

けれど状況は本当に最悪。

島原夫【はるかちゃん…何があってもお姉ちゃんを恨むな…】

まずい
まずい

島原夫【由梨…君に会えて幸せだった…】

そして次の瞬間、蠣崎は旦那さんの頭を撃ち抜いて、
旦那さんは力なく、頭から血を流して倒れた。

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